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地元の知恵がぎっしり詰まった「ひのきの家」の魅力とは?

(2017年4月13日号掲載)

日本有数の人工林を持つ浜松市で、「木材の地産地消」を掲げる団体がある。地元の工務店が集まって作る「天竜・無垢の木・ひのきの家普及促進協議会」だ。彼らが天竜産の無垢の木を活用した家づくりを進める、そのワケとは?

家に居ながら森林浴

世界最古の木造建築物、奈良の法隆寺。日本が誇るこの寺院が、1300年の時を超えて今に残っているのには一つの理由がある。

それは「建築材にヒノキを使っている」ということ。優れた耐久性を持つヒノキは、伐採して200年間は強度が高まり続け、1000年以上経った今も伐採時と同じ強さを保ち続けているという。寺社仏閣の建築にヒノキは欠かせず、日本書紀にも「ヒノキは宮殿の建材に使え」という意味の言葉が残されている。

「ヒノキは堅くて丈夫なほか、殺菌効果があり、爽やかな香りで人々の心を休める効果を持っています。ヒノキで建てた家の中にいると、まるで森林浴をしているようにリラックスできますよ」

そう話すのは、「天竜・無垢の木・ひのきの家普及促進協議会」の夏目裕之さん。同協議会は天竜産のヒノキなど無垢の木の魅力を広めるため、地元の工務店らが集まり、平成22年に発足した。無垢の木を使った家を建てたい人のリクエストに耳を傾け、要望に応えられる工務店を紹介するのが主な活動だ。

日本三大人工美林の一つに数えられる天竜美林。浜松市天竜区のおよそ90%の土地に広がる森林のうち、7割がスギ、3割がヒノキといわれている。時に水を治め、時に空気を清めてくれる木々は、私たちの暮らしに欠かせない存在。それと同時に、上質な建築木材としても活用されている。

「ヒノキを使った家というと、純和風な高級住宅を思い浮かべる方が多いかもしれません。ですが、デザイン次第で洋風やモダンな住宅にも十分に取り入れることができます。地元産のヒノキを使うことで、コストを抑えられるメリットもありますよ」

夏はさらり、冬はポカポカ

地元で生産されたものを、地元で消費する。主に農産物の分野で使われる「地産地消」というアイデアは、木材にも活用できる。協議会のメンバーで、建築木材を扱う株式会社新栄の天野憲治社長は言う。

「木材は周りの湿度が高ければ水分を吸収し、湿度が低ければ水分を放出する。この調湿作用のおかげで、住宅を快適な湿度に保つことができます。地元で育てられた樹木は、地域ならではの気候にも慣れているから、より湿度対策に有利な家を作ることができるんです」

樹木は伐採しても生き続ける。住宅に使われた木材が、時が経つにつれて形や色味を変えていくのはそのためだ。ベテランの大工は将来、木材がどのような変化を遂げるかを見抜き、時間とともに家屋の強度が増すように資材を組み立てていく。「地元のヒノキの特性を知り尽くしているのが、私たち協議会の強みなんです」と天野社長は力説する。

夏はヒノキが湿気を吸い取り、さらりとした肌触りが楽しめる。一方、冬は天然繊維が熱を閉じ込め、家中ぽかぽか温かい。「省エネ住宅」「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」といった言葉が飛び交う今だからこそ、先人の知恵が詰まったヒノキの家に再び注目が集まっている。

天竜産ヒノキを知り尽くした匠たち

天竜・無垢の木・ひのきの家
普及促進協議会 夏目裕之

「ひのきの家なら、エアコンに頼らない、開放的なエコ住宅を実現できます」

株式会社 新栄

「家を建てる際は、間取りや耐震だけでなく、どんな建築材を使うかにも注目してほしいですね」

鈴木建社 有限会社
代表取締役 鈴木正義

この道一筋50年、古民家再生も手掛ける人情派の匠。純和風の家屋はもちろん、ヒノキを使ったテーブルやイスなども手作業で作り上げる。「ヒノキの家は5年以上経ってもまだいい香りがする。いい家は人の気持ちを温かくしてくれるよ」

浜松市浜北区宮口3927‐26/053‐582‐3123

有限会社 アート和久田工務店
代表取締役 和久田 隆

社長である本人自ら、打ち合わせや設計、現場管理、アフターケアを行う責任感あふれる匠。ヒノキの特性を生かしながら、新築から耐震リフォームまで幅広く請け負う。「ヒノキの床は肌触りがいいから、小さいお子さんのいる家庭に喜ばれています」

浜松市西区大久保町4663/053‐485‐5120

瀧口建設 株式会社
代表取締役社長 瀧口 繁

地元建材を使い、住宅の大規模改修を得意とする匠。震度7の地震にも耐えられる耐震等級3を取得しつつ、まるで新築住宅のようなリフォームを実現する。「今住んでいる家を潰したくないという方のお気持ちに応えられるプランをご提案しています」

浜松市北区東三方町447‐10/053‐438‐5388

国土交通省
地域木造住宅市場活性化推進事業
天竜・無垢の木・ひのきの家
普及促進協議会
浜松市浜北区染地台1-39-21
053-443-8727