コラム

杉山孝男の人間学-32

悠々自適の「見事な老後人生」

(2018年2月1日号掲載)

「人生七十、古来稀(まれ)なり」は、唐代詩人・杜甫(とほ)の詩の一節で、古稀(こき)の語源になった句です。最近の我が国では、六十歳以上の生存者の平均寿命は九十歳を超えています。

数十年前までは、生誕~二十歳までが養育期、二十~五十五歳が労働期、五十五歳~七十歳が老齢期でした。しかし近年では定年も六十歳を超え、老齢期も四十年と長期化し、多くの高齢者が「我が老齢期をいかに充実するか」に挑戦中です。その中の一人を紹介します。

A氏は定年後、三回の大手術を経験し、現在七十三才。数年前に病気回復途上の氏を激励する意味で、友人の筆者は次の漢詩を贈っています。

「順天の友を讃える!」

某人好四季(ある人四季を好み)

日日詠天地(日日(にちにち)に天地を詠(よ)む)

朝夕誦心経(朝夕に心経を誦(とな)え)

味無我境地(無我境地を味わう)

創句超数千(創句は数千を超え)

読誦幾千回(読誦(どくじゅ)は幾千回なり)

古来在俗諺(古よりの俗諺(ぞくげん)在り)

順天者永命(順天(じゅんてん)の者は命永(なが)し)

(語意)詠む=俳句の作成、心経=二百六十二文字の般若心経、誦え=般若心経の読経、無我境地=仏教で説く悟りの心境、読誦=般若心経を唱えること、俗諺=世間の諺、順天の者=天地自然界の一微粒子を自覚し自然摂理に順じて生きる者

体力の回復と共に心の水準も高僧並みに高まっていくA氏に、日常の生活振りを聞いてみました。

午前=心経・坐禅・人間学・俳句

午後=自宅近くで畑作業、作業休憩中にも坐禅や俳句創作

本人は謙遜した話しぶりですが、筆者からは、仏教の「平常心これ道なり」を見事に実践し、生命力溢れる悠々自適の生活振りに見えます。

主宰する「人間学読書会」の会員でもこのレベルの方がおりますが、そのコツを探ってみれば、「順天生活」と「仁眼長所からの感謝満足の生活」が基本姿勢になっています。

「東洋思想の名著に学ぶ」無料読書会

2018年4月16日(月)午後6時半~8時半、名古屋大原学園浜松校3階(浜松市中区板屋町101-8)で開催します。受講無料 駐車は寿モータープールへ。 053-455-4419