コラム

杉山孝男の人間学-27

「論語(ろんご)」は四〇歳までに、「老子(ろうし)」は五〇歳から学べ!

(2017年8月3日号掲載)

論語と老子は二千数百年前の中国の二大思想書です。

論語は思想家・孔子と弟子の問答録で、人間社会に視点を当てた努力修養書で、四〇歳までに学びたい書物です。一方、老子は自然摂理を手本とする処世法を説くことから、五〇歳からの処世書と云われます。以下、老子思想を中心に紹介します。

老子では①まず全宇宙を統御し万物を生成消滅させる極大自然力を「タオの道」とし、これに添う生き方をするために、②無為自然(むいしぜん)(自然に任せ人為の小手先を使わない)、③柔弱謙下(じゅうじゃくけんか)(謙虚にして敢えて敵を作らない)を心掛けます。最初は消極思想と思いがちですが、学びに従いその実質は「したたかな不敗思想」であることが解り魅力が増します。

功を遂げ身を退くは、天の道なり

成功者は地位に執着しないであっさりと退くことが、自然摂理のタオの道に添う生き方といいます。高い地位は臣下や敵からの危険も多いから、頃合いを測り自ら退位をして身を危険に晒すなという教えです。論語の「朝(あした)に道を聞けば、夕べに死すとも可なり」と比べると、命より生き方を優先する書生論的な論語思想より、遥かにしたたかな思想です。

物壮(ものさか)んなれば即(すなわ)ち老(お)ゆ、これを不動(ふどう)といい、不動は早く已(や)む

自然摂理のタオの道から外れ、物事が盛んになり過ぎれば衰え、本来の道から外れて早く滅亡します。

その栄(えい)を知りて、その辱(じょく)を守る

栄は繁栄、辱は申し訳ないこと。世間のお蔭で栄華な生活を享受できているから、心のどこかに柔弱謙下の申し訳なさを持てという教えです。

元経団連会長の土光氏に朝駆け取材をした記者が、朝飯に誘われました。豪華な朝食かと思えば目刺・漬物・飯の三品でした。土光(どこう)氏は東洋思想に造詣が深く、驕りの無い質素な老子的な生活を貫いた人でした。

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