特集

御前崎のウインドサーファー

石井孝良君が世界ユース王者に

(2018年1月25日号掲載)

御前崎市のプロウインドサーファー・石井孝良(たから)君(16歳)が、ハワイ・マウイ島で行われた世界大会のユース部門(21歳以下)で優勝を果たした。地元の海で磨いた技を見せつけ、世界の若手世代の頂点に立った。

日本人初の快挙

御前崎から世界チャンピオンが誕生した。昨年11月5日、世界各国から100人以上が出場する「アロハクラシック」ユース部門で、石井君は日本人初の1位を獲得。ウインドサーフィンの聖地にその名を刻んだ。

「すごくうれしい。過去2回は3位に終わって悔しかったので、ようやくリベンジできました」

サーフボードで波に乗り、セイル(帆)で風を推進力に変える。ウインドサーフィンは、波と風の両者を巧みに操り、スピードや技術を競うスポーツだ。今回、石井君が出場したのはジャンプや波乗りの難易度を競う「ウェイブ・パフォーマンス」の大会。1カ月前から現地入りし、マウイの波を体にしみこませた。

当日の波は大きすぎず、小さすぎずのベスト・コンディション。石井君は初戦で波の上に高く飛び出す大技「エアリアル」を決め、この日一番のハイスコアをたたき出す。勢いは決勝まで止まらず、同世代のライバルである杉匠真君とともに、日本人選手がツートップを占める快挙を成し遂げた。

「これまで日本人と海外の選手は差が大きいといわれていました。でも、今はだいぶ縮まっている。今回の経験で、プロでも十分戦える自信が持てました」

史上最年少でプロ入り

プロ選手だった父の影響で、5歳からウインドサーフィンを始めた。地元の海で練習を重ね、一昨年に日本ウインドサーフィン協会が主催するプロ戦に出場。アマチュア選手で史上初となる優勝を飾り、国内最年少でプロの資格を取得した。

ウェイブ・パフォーマンスの評価の基準は「ハイリスク・ハイリターン」。難しい技ほど、高い得点を得ることができる。波や風の状態は、場所や時季によって大きく変わるため、環境に合わせる適応力や、とっさの判断力が勝負の鍵を握る。

「風があればいつでも練習しに海へ出ます。御前崎の海は波乗りもジャンプもしやすい。日本の海の中でも、特にいい環境だと思う」

あこがれのプロ選手は、スペインのアレックス・ムッソリーニ。4年前に来日し、御前崎で行ったパフォーマンスを見て衝撃を受けた。技のキレ、8mを超す大ジャンプ。どれも脳裏に焼き付いている。

「僕も周りから『こいつはすごい』と思われる選手になりたい。下の世代の見本になって、日本人選手のレベルを上げていきたいと思っています。もちろん、プロの世界でトップを目指すことも目標。海外遠征で経験を積んで、実力を身に付けたい」

世界の壁に風穴を開ける。その先駆者が御前崎から生まれようとしている。

ウインドサーフィンの聖地・マウイ島で、石井君(左から2番目)はユース世代の王者となった
【プロフィール】

2001年、御前崎市生まれ。5歳からウインドサーフィンを始め、小学生から本格的に競技に取り組む。2016年、COLD BREEZE OMAEZAKIでアマチュア初の優勝を飾り、15歳で最年少プロとなる。2017年、ハワイ・マウイ島の「アロハクラシック」ユース部門で日本人初の優勝を果たす。