暮らし

遠州のいきもの観察記 Vol.8

冬の到来を告げる鳥 ジョウビタキ-尉鶲-

(2017年11月9日号掲載)

オレンジと黒のツートン

日没が早くなり、やや肌寒い日が増える10月下旬頃から、街中の公園でもジョウビタキの姿を見かけるようになる。手すりなどにとまり、すまし顔で、小刻みに尾羽を震わせている。お腹の鮮やかなオレンジ色と背中側の黒のツートンがひときわ目を引く。つぶらな瞳が印象的。

ジョウビタキは冬鳥だ。冬鳥とは、夏はシベリア方面など北の方で子育てをし、秋には日本へ来て冬を過ごす渡り鳥のこと。雀ほどの小さな体で、大海原を渡り、はるばる日本へやってきたのだ。ジョウビタキに出会うと、いよいよ冬がはじまるな、と気持ちが切り替わる。

「ヒッ、ヒッ、ヒッ、ヒッ」「カッカッカッ」

ジョウビタキの鳴き声だ。一定のリズムで「ヒッ」と鳴き、「カッ」のところは火打ち石を打つような音と例えられる。木の枝先など目立つところにとまって高らかに鳴いている。なわばりを宣言しているのだという。

渡ってきたばかりのジョウビタキは、まずは落ち着く場所を探す。冬を越すためには、食べ物に困らないことが必須条件だ。ムカデやクモ、イモムシなどのほか、木や草の実も食べる。ただ、食べ物が豊富なお気に入りの場所が見つかっても、すぐに安泰というわけにはいかないようだ。

激しいなわばり争い

1羽のジョウビタキのすぐそばにもう1羽がやってくる。ずいずいと押し出すように迫る。一定の距離を保ちつつも、時折、羽をばたつかせて威嚇する。エサの豊富な場所を取り合う、なわばり争いが始まったのだ。

まるで遊んでいるようにも見えるが、ジョウビタキにとっては必死の戦い。渡ってきてからしばらくは、こうしたバトルを何度も繰り返す。冬の間は、オスもメスも関係ない。みなライバルというわけだ。

車のドアミラーや道路のカーブミラーに映る自分の姿と戦うジョウビタキを見ることがある。鏡に映る自分がなわばりに侵入した敵と映るらしい。鏡に向かって派手に戦いを挑むジョウビタキに、それは違うよと教えてあげたくなる。

冬の景色に暖かい彩りを添えるジョウビタキ。浜松城公園や佐鳴湖公園などでも見られる。時には庭先で出会うことができるのも嬉しい。

文・イラスト 環境学習指導員 瀬下 亜希