健康

女性のための漢方講座「寝起き」編

(2018年3月1日号掲載)

春の朝、頭がなんだかぼーっとする。

「肝」の不調で気血が滞りがちに
玉嶋貞宏 院長
玉嶋血液内科
漢方診療所

玉嶋貞宏 院長
1958年、兵庫県生まれ。浜松医科大学卒。共立湖西総合病院、聖隷浜松病院を経て2012年に開業。日本血液学会認定血液専門医・日本東洋医学会認定漢方専門医
浜松市中区住吉1-24-1NTT住吉ビル4F
TEL.053-412-0100

読者のみなさんの中に、「春の朝は頭がぼーっとして、うまく働かない」という人はいませんか。午前中に仕事や家事をしていると、昼頃になってようやく頭が働きだすという人も多いでしょう。

春はそれまで寒かった冬から、急激に暖かくなり始める、季節の転換期です。漢方的に言うと、寒い「陰」の季節から、暑い「陽」の季節へと入れ替わるタイミングといえます。このような変化に体が追いついていかないと、体調不良や気分が落ち込むなどの症状が現れます。

「春は肝の季節」という言葉があります。「肝」は五臓のうち、全身に気を巡らせる役割を持つ臓です。暖かくなると草花がグングンと成長するように、春は「肝」の働きが活発になり、身体や精神が活動的になっていきます。気血も体中を巡ろうとします。ところが、巡ろうとした気血が巡らないと、体調は不良となります。特に気分がすっきりせず、落ち込んだようになることもあります。もともと体質的に気の巡りが悪い人に起こりやすいといえます。

また、肝は制約を嫌う臓です。何か我慢したり、嫌なことを無理やりしたりすると、働きが鈍ります。春は進学や就職シーズンに当たり、新生活が始まる時期です。新しい環境が強いストレスになると、肝の気血を巡らせる働きは低下してしまい、気分がすぐれない状態に陥ります。

このように、春に気の巡りが悪くなる人は、肝の働きを良くする漢方薬を処方します。代表的な薬は柴胡(さいこ)という生薬を含む漢方薬で、小柴胡湯(しょうさいことう)、四逆散(しぎゃくさん)、加味逍遙散(かみしょうようさん)など多数あります。

季節の変わり目に体調が悪くなるのは、ある意味で「当たり前のこと」です。マイナスに考えすぎると、気はますます巡らなくなります。「今はそういう時期で、いずれ良くなる」と前向きに考えることも大切です。