コラム

藤原道生のスポーツマンシップ 講座1

楽しくなければスポーツじゃない。

(2017年11月23日号掲載)

こんにちは。今回からコラムを連載させていただく、浜松市のVリーグ女子バレーボールチーム「ブレス浜松」の監督・藤原道生です。

このコラムでは、バレーボールの話題に留まらず、今の日本社会に必要な「スポーツマンシップ」の大切さをお伝えしたいと思っています。私はこれまで、北米やアフリカ、東南アジアなど11カ国で選手やコーチの指導を行ってきました。私が海外の選手を見て「すごいな」と思ったのは、彼らが皆、強烈な「スポーツマンシップ」を持っているということでした。

日本で「スポーツマンシップ」というと、「ルールを守る」「仲間と力を合わせる」といった意味で使われることが多いと思います。もちろん、それらも大切なことです。ですが、西洋文化の中で培われてきたスポーツマンシップの概念は、日本人が考えるものとは少し異なります。

日本では「スポーツ」と「運動」はほぼ同じ意味で使われます。ところが、近代スポーツ発祥の地といわれるイングランドでは、スポーツを「運動」に「ゲーム」が加わったものととらえています。ここで言うゲームとは、①ルールがある②勝ち負けがある③自分から楽しんで取り組むという3つの特徴を備えた遊戯を指します。

重要なのは「自分から楽しんで取り組む」という点です。競技を通じて楽しい時間を過ごすために、勝ち負けがあり、ルールがあるのです。

2014年、ブラジルでサッカー・ワールドカップが行われました。試合前、ブラジル代表チームのロッカールームの様子がテレビに映し出されたのですが、それを見た時、私はとても驚きました。監督や選手たちが声を合わせて、「相手がベストなコンディションで臨んできますように」とお祈りをしていたのです。そして、「我々はそれを上回る力を発揮して、最高のゲームを観客に披露して勝とう」と付け加えたのです。

私はこれこそがスポーツマンシップだと思いました。彼らの考えの根底には「敵に打ち勝つこと」ではなく、「相手とベストなゲームを作り出すこと」が大切だという思想があるのです。この精神が日本のスポーツ界、さらには日本社会に広まれば、もっと素晴らしい世の中が訪れると私は確信しています。