コラム

菊野教授の人づきあいの秘訣【第3回】

メタ認知を磨いて、いつも前向きな気持ちでいよう。

(2017年6月22日号掲載)

静岡産業大学教授 博士(心理学) 菊野春雄

どちらかというと愛想はいいのに、いつも"余計な一言"を口走って周囲に不快な思いをさせてしまう。買い物に行くと、気に入ったものを片端からカゴに入れて、ついつい買い過ぎてしまう。あなたの周りに、そんな人はいないでしょうか。

人と人とのコミュニケーションについて、発達心理学の観点を交えながらお届けしているこのコーナー。第3回となる今回は、「メタ認知」についてお話しします。

メタ認知とは、わかりやすくいうと"自分を客観的に見る"能力のことです。近年では学校教育やビジネスの現場でも注目されているようで、教員やビジネスマンに向けた養成講座なども開かれているようですね。メタ認知を磨けば第三者的な目線で、自分の行動を冷静に分析・判断できるようになるといわれています。冒頭のような失敗をしてしまう人は、このメタ認知が十分に発達していないからかもしれません。では、どうすればメタ認知を高め、円滑なコミュニケーションを図れるようになるのか。もう少し詳しく説明していきましょう。

自分の"思考のクセ"に気付く

メタ認知の及ぶ範囲はかなり広く、記憶、学習、思考、言語、知覚の領域に関わっているとされています。自分の能力の限界を知って「できそうだ」「難しそう」と判断する。「イライラしてしまいそう」「こう言ったらきっと相手は怒るな」など、感情をコントロールする。「この手順より、こっちの方が効率はいいだろう」と、状況に適した行動を計画的に実行する。これらの多くはメタ認知の力です。こうした能力を磨くには、上手くいった状況、失敗した状況を普段から振り返り、別のやり方で行動ができなかったか考えてみることが大切です。具体的には日記をつけたり、行動について親しい人と話し合ったりするのが効果的といわれています。そうして自分の"思考のクセ"を見抜くことができれば、一歩前進です。何が原因で同じような失敗をしているのか、自ずと見えてくるでしょう。

メタ認知を有効に活用すれば、うっかりミスを無くしたり、生活の中で生じる不快な出来事にいちいち振り回されたりせず、それまでよりも前向きな気持ちで暮らせるはずです。興味のある方は関連する書籍も多く出ているので、参考にしてみてはいかがでしょうか。