コラム

杉山孝男の人間学-32

足下にあった「桃源郷(とうげんきょう)」

(2018年1月11日号掲載)

新年おめでとうございます。

「あちこちと 探し求めた 桃源郷 気付いて見れば 我が足もとに」

桃源郷とは理想郷。損得に目ざとい現代人が足元の理想郷に気付かなかったという訳ですから驚きです。 確かに年末の殺伐とした気分が一夜にして正月気分に変わり、家族団らんの桃源郷になります。しかしそれもつかの間で、仕事が始まり再び不平不満の日々になりかねません。

この状況から脱却する工夫が人間学の学びですが、解りやすい表現をすれば「不平不満を感謝満足に切り換える法」となります。

現代の欲望社会では、金が欲しい、健康や愛和な生活も欲しいとなりますから、欲望が付きまといます。欲望が簡単に実現することも無いから、次第に執着し煩悩(ぼんのう)苦悩に陥り、不平不満の日々に埋没します。こういう生き方を「嫌眼(けいがん)短所病=嫌味(いやみ)の眼で周りの欠点を視る癖」といいます。見るもの聞くものに嫌みの心で対応しますが、本人はひねくれた見方と気付いていないから始末に困ります。

嫌眼の癖を解消するには「仁眼(じんがん)長所法=思いやりの眼で周りの長所を視る癖」に切り替えることです。このように説明すると、自分に嘘までいって長所に切り替える必要が無いと息巻く人がいますが、そうではありません。むしろ仁眼長所力が貧弱で長所を見つけ出すことができないから、嫌眼短所の不平不満の呪縛の罠に陥っているととらえることです。

藤原定家(ていか)に「見渡せば 裏の苫屋(とまや)の 秋の夕暮」(新古今和歌集)とあります。苫屋=茅葺(かやぶき)の粗末な小屋。凡人には変哲もない風景から素晴らしい情景歌を創りだす定家の仁眼力に脱帽です。同様に「よく見れば なずな花咲く 垣根かな」も、芭蕉の自然観察力の喜びが伝わってくる句です。

「アラ不思議 仁眼のタネ 無尽蔵」(巌海)

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