コラム

青木明子 アートの力 Vol.6

切っても切れない、アートと社会の関係。

(2017年8月10日号掲載)

皆さんはフランスのラスコー洞窟や、スペインのアルタミラ洞窟をご存知ですか?約3万年前の野牛、馬、人間が描かれた壁画で有名な場所です。私は、この絵を「アート」だと思っています。それはこの絵が、誰かに何かを伝えるために描かれたものだと思うからです。人が集団生活を始めたのと同時に、アートも存在していたと私は考えています。

先日、静岡市にオープンした静岡県文化プログラム拠点「七 Lab.(ナナラボ)」のイベントへ出席しました。「七 Lab.」は2020年の東京オリンピック・パラリンピック文化プログラムに合わせ、県下の文化事業をサポートする拠点として設けられた施設です。当日は「地域とアートが共鳴する」をテーマに、トークイベントが行われました。

地域とアートの共鳴とは、一体どのようなことを指すのでしょうか?人々がアート作品を見て感動したり、心が揺さぶられたりするということだけではなさそうです。

私が思う"共鳴"とは、一つの作品を発表することにより、アーティストはもちろん、地域の人や外部から来た人たちが何かを感じ、体験し、地域社会が動いて変化していくことだと思います。価値観が固定化した地域社会を揺り動かすために、アートの持つ多様性を活用するのは有効だと思います。

オリンピック文化プログラムの影響から、近年は周りの市町でもアートプロジェクトや芸術祭が多く開催されるようになりました。たくさんの人々がアートに触れるのは大事なことですが、最も大切なのは「文化プログラムが終わった後、地域がどうなるのか?」です。地域に住む人達が元気になったり、何かに気がついたり、新しいアイディアが出てきたりするといった変化が生まれることが重要だと思います。

そのためには、アーティストたちがますます領域を越えて、お互いのジャンルを侵食し、様々な素材や技術を使って作品を制作して欲しいと願っています。皆さんもアートは分からないと思い込まないで、これから地域で開かれるアートプロジェクトやイベントに行ってみてください。そして、不可解なアートに触れ、体験し、感じ取ってみてください。皆さんが感じ取れる"何か"があるかどうかが、そのプロジェクトが成功したか否かの評価につながるはずです。