コラム

菊野教授の人づきあいの秘訣【第2回】

ガマンのできる子とできない子のちがい

(2017年5月25日号掲載)

静岡産業大学教授 博士(心理学) 菊野春雄

ゴールデンウイーク明けから、真夏のように暑い日が続いていましたね。私たち大人はいささかうんざりしてしまいますが、外で遊びたい子どもたちはきっと、快晴ばかりでよろこんでいるのではないでしょうか。友達と楽しそうに遊ぶ我が子の姿を見ていると、暑さも少しやわらいだ気になりますよね。

ところで、あなたのお子さんはきちんと"ゆずり合い"をしながら、同年代の子どもたちとうまく遊べているでしょうか。今回は、"ガマンのできる子とできない子のちがい"に関係するとされている「実行機能」についてお話しします。

「実行機能」というのは脳の機能の一部で、学術的には複数のむずかしい解釈がありますが、おおむねは"こうしたい"という欲求を抑える自己抑制機能や、状況判断能力に関連するとされています。実行機能が著しく発達するのは「4歳前後」と言われていて、大人であれば簡単にガマンできることを子どもがガマンできないのは、この実行機能が未発達であるためだと考えられています。わかりやすい例を挙げてみましょう。

目の前に大好なブランコがあり、自分の前で数人の子どもが順番を待っています。5歳児なら、すぐにブランコに乗りたいけど、自分の気持ちを抑えて順番を待つことができますね。しかし、2~3歳くらいでは、順番を待てない子どももいます。それでも4歳くらいを境に「順番を待とう」などと考えるようになります。他愛無い嘘をつくようになるのもちょうど同じ時期で、これは実行機能が発達して、「こう言ったら相手はきっとこう思う」と周囲の気持ちを推察する能力が芽生えるからだと、私は考えています。裏を返せば、3歳くらいまでは人の気持ちを理解する、今風に言えば「空気を読む」能力が十分に育っていません。小さな子どもにとっては、順番を守らずにブランコに乗って注意されても、なぜ怒られているのか理解ができないのは当然のことなのです。

では、どうすれば実行機能が発達しやすいか。諸説ありますが、ダンスやドラムなどの楽器、空手や柔道などのマーシャルアーツがいいと言われています。両手両足がちがう動きをすることで、「自分の行動を抑制する」ことにつなげようという理論です。反対に逆効果なのは、子どもの行動をなんでも親が抑制してしまうこと。実行機能は6歳くらいまでは少しずつ発達していくので、できないからとすぐに怒ったりせず、気長に我が子の成長を見守ってあげてください。