コラム

杉山孝男の人間学-23

「散歩名人」の仁眼長所(じんがんちょうしょ)

(2017年5月11日号掲載)

読書会会員から漢詩(五言絶句)が送られてきました。一種の仁眼長所(思いやりの眼で長所を視ること)の詩で散歩の喜びを詠っています。

『春岸満足』

陽光輝川面(陽光が川面に輝き)

双鶯戯桜木(双鶯(そうほう)が桜木に戯れる)

若汝参開襟(若し汝開襟(かいきん)し参ずれば)

忽現桃源郷(忽(たちま)ち桃源郷(とうげんきょう)が現れる)

・陽光=太陽の光、川面=川の表面、双鶯=つがいの鶯(うぐいす)、開襟=心を開く、忽ち=瞬く間、桃源郷=「桃花源記(とうかげんき)」に出てくる理想郷

「歩くこと」を様々な言葉で表現してみますと、先ず①ウォーキング=健康が目的で手を振って元気に歩くスタイル。元気溌剌(はつらつ)の笑顔の人もいれば、減量に挑戦中の人は少し真剣な顔。②散歩・散策=「浜辺を散歩する」などと表現される。③逍遥(しょうよう)・漫(そぞ)ろ歩き=文学的な情緒を感じさせ、「恋人と満天の星空の下を漫ろ歩く」などとなります。

古参会員になりますと、読書会で推奨している『朗顔喜動の四源句』(自懐天懐→仁眼長所→感謝満足→報恩活力)の活用もかなりのレベルになります。

眼力の水準は、①嫌眼短所力②凡眼漠然力③仁眼長所力の三段階ですが、日常の生活姿勢が反映されて、その水準が固まり癖になります。

冒頭漢詩の前半二句は状況説明ですが、後半二句は嫌眼短所の癖の人は川面の眩しさや鳥のざわめきを嫌眼しますから、自分の心を一瞬にして暗くしてしまいます。しかし仁眼長所の癖の人は、川の情景を一瞬にして桃源郷と見て明るく楽しむことができます。これを「眼力差による心の満足度」と言いますが、一生の間では大きな差となります。 

『朗顔喜動の四源句』

置・自懐天懐=自懐を天懐に置き、

視・仁眼長所=仁眼で長所を視る。

転・感謝満足=感謝を満足に転じ、

産・報恩活力=報恩の活力を産む。