コラム

青木明子 アートの力 Vol.5

朝市はアートの展覧会?

(2017年6月8日号掲載)

鴨江アートセンターでは、2014年から奇数月の第3土曜日に「かもえのあさいち」と題した朝市と、「食」にまつわるワークショップを開催しています。お陰様で少しずつ楽しみにしてくださる方が増えています。

どうしてアートセンターが朝市を開催しているのか?その理由は「アートセンターへ来るきっかけづくりのため」とおおざっぱに言っていますが、それだけでは説明にならないような気がしています。

皆さんは普段、どこで買い物をしていますか?スーパー、デパート、専門店などが多いと思います。実は私たちは「もの」の生産者から直接購入する機会がほとんどない社会で生活しています。生産者との接点や交流が少なく、生産者にとっても生活者との接点がありません。

まずは、この接点、生産者と生活者の関係を見せ、関係を形成する過程を体験するのが「かもえのあさいち」の狙いです。これは最近のアートワークにみられる手法でもあります。

「かもえのあさいち」の出品者は、農産物の生産者や茶、豆腐、醤油、パンなどの製造者の方々です。それぞれポリシーを持ち、自然環境と格闘し、食材や加工方法にこだわって出品してくれます。そのポリシーやこだわりを、品物を通して来場者に伝えています。一人ひとりがアーティスティックな方々で、彼らから「人間にとって食することとは?」という問いかけを受け取っています。

「あさいち」を展覧会に見立てると、出品物が作品、生産者がアーティストです。来場者は作品とアーティストに関わり、作品から視覚・味覚・臭覚・触感へ刺激を受けて、鑑賞=購入します。さらに回を継続することで、生産者同士のつながりが出てきました。この関係にクリエイティブな匂いがします。何が起こるのだろうとワクワクします。

まるで展覧会をつくるように企画・開催していますが、みなさんにはおいしく、楽しく、おしゃべりしながら時間を過ごしていただきたいと願っています。その場にいることで、いつの間にかアートと接することができれば、アートセンターで開催する意味があると思っています。