教育

児童演劇「劇団たんぽぽ」その心(3)

伝えたい思いが声となって飛んでいく

(2013年3月21日号掲載)

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上保節子(かみほせつこ)
1944年生まれ。静岡県川根本町出身。1964年、劇団たんぽぽに入団。2005年、代表就任。小学校で朗読や発声の講師も務める。

昔は「学芸会」がありましたが、今は1年間に学んだ集大成として、お芝居に仕上げる「学習発表会」を行う学校が増えました。そこで、指導を頼まれて、あちこちの学校へ行くことがあります。そのきっかけとなったのは、私たちの芝居を見た学校の先生から「どうしてあなたたちの声は、マイクを使わなくても後ろまで通るのですか」と聞かれたことでした。発表会は近づくが、子どもたちの声が小さいため、とても後ろまで声が届かない、と言うのです。「いえ、子どもたちだって遊んでいる時にちゃんと声は出ているんですよ」と私はいつも話します。

「子どもの声が、ぽーんと変わるタイミングというのは、心底面白がっている時、心が開いた時でしょ」と言うと、「どうすれば心を開かせることができますか」。「それは、楽しくやればいいじゃない」と言うと、「どうすれば楽しくなるんですか」と聞く。先生が、いくら「大きな声を出しなさい!」と叱ってもダメ。先生は一生懸命ですが、自分自身が楽しんでいないのですね。教えなければいけないという使命感で接すると、子どもは敏感ですからすぐに伝わってしまう。

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子どもと共通する何かがあるといいですね。たとえば昔は「大きなおにぎりを食べろ~」なんて言っていましたが、今は「さあ、ビッグマックを食べて~!」と言うと、みんな大きな口を開ける。さらに、「奥にいるあの人にあなたの声、聞こえる?あの人に気持ちを伝えたいって思って声を出してごらん。心を届けたいって思ったら、声は遠くまで飛んでいくよ」と。字は読むものですが、話す時には心が入らなければ伝わらないもの。相手の目も見ず、「おはよう」と言っても、誰に言っているのかわからない。だからちゃんと相手の目を見て言葉を届けることが大事だと話しています。

芝居のセリフ一言一言には、家族構成や生活、心など、いろいろなものが背景にあるんですよね。その裏付けがあって初めて言葉になるのです。脚本作りから演出、演技、観客を楽しませるということ…。仲間と創り上げる芝居を通して、子どもたちはきっと多くのことを感じていると信じています。


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公益社団法人教育演劇研究協会「劇団たんぽぽ」
1946年、浜松出身の女優・小百合葉子主宰の児童劇団として長野県で発足。
1953年、浜松市に移る。全国の小・中学校を中心に演劇公演を行っている。
1955年社団法人格を、2012年に公益社団法人を認定される。

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