教育

部活戦記

浜松市立高校なぎなた部「大和撫子、なぎ払う。」

(2013年6月6日号掲載)

「しょこたん、もっとゴツく!」先輩からの言葉を胸に、浜松市立高校2年の山下笙子(しょうこ)さんは県大会の舞台に立った。団体戦の出場校はたったの2校。勝てば全国大会出場が決まる。

なぎなたというと、武蔵坊弁慶を思い浮かべる人も多いかもしれない。なぎなたは本来、歩兵が人馬をなぎ払うために使う武器だった。しかし戦国時代になると槍の発達や鉄砲伝来とともに戦場から姿を消す。以来、僧侶や女子の護身術として広まり、明治になると「女の武道」として発展を遂げた。

平成16年まで女子校だった浜松市立高校のなぎなた部は、創部36年の歴史を持つ。同部代々の伝統は「先輩が後輩を指導する」こと。顧問の先生が必ずしもなぎなた経験者ではないため、技術や礼儀作法などを生徒同士で教え合う文化が根付いている。

試合中はなぎなたを打ち合い、ダイナミックな攻防が繰り広げられる なぎなた競技の大きな特徴として、打突部位に面(メン)・胴(ドウ)・小手(コテ)のほか、脛(スネ)がある。そのため選手たちは剣道と同じ部位に防具を着けるほか、脛当ても着用する。まさに「弁慶の泣き所」というわけだ。

次鋒(二番目)で出場した山下さんは長さ2mを超えるなぎなたを振るい、かかんに相手を攻める。普段は「しょこたん」の愛称で仲間から慕われる"いじられキャラ"。だが、ひとたび防具を身につければ小手の名手へと変わる。
「小手は的が小さくて狙いにくいけど、2学年上の先輩にとても上手な人がいたんです。その姿を見て自分もあんな風になりたいと思い、一生懸命練習してきました」

試合中、緊張で体が硬くなった時も、先輩たちからのアドバイスを思い出す。もっとゴツく、もっとゴツく――気迫のこもった掛け声と打突音が、武道館の会場いっぱいに響き渡った。

この大会で浜松市立は個人・団体・演技、すべての部で優勝。県大会完全制覇を達成した。

◆浜松市立高校なぎなた部
創部36年。部員は16人で女子のみの部活。OGの中には、地元でなぎなた教室を開く人もおり、浜松のなぎなた文化醸成の拠点になっている。今年8月に佐賀県で行われる全国高校総体に出場予定。