教育

部活戦記

浜松学院高校自転車競技部

(2013年7月11日号掲載)

時速70kmの心理レース

5~8人のレーサーが着順を競う「ケイリン」。先頭の青いウェアが浜松学院高校の選手

「今日は何しようか」
放課後。浜松学院高校自転車競技部の活動は、竹村行央部長(3年)の一言から始まる。練習メニューは決まっていない。自転車で浜名湖を1周したり、ローラーと呼ばれる器具でトレーニングをしたり。その日の天気や体調に合わせて、練習の内容を選手たちが考える。

自転車を漕いで、その速さを競う―自転車競技を一言で表すとしたら、これほど分かりやすい言葉はないだろう。最高速度は70km超。脚力のみで自動車並みの速度を生み出す競技だけに、一見、個人の身体能力が物を言うスポーツのように見える。

「ですが、実際はものすごく頭を使う競技です。レース中は常に相手選手の動きに注意していなくてはいけない。事前に相手の特徴を頭に入れておき、戦術を立てなくては勝てません」

自転車競技には大きく分けて、競技場で行うトラックレースと道路を走るロードレースの2種類がある。いずれにしても競技中、レーサーたちを悩ませるのが「空気の壁」だ。コースを高速で走れば走るほど空気抵抗は大きくなり、速度と体力を奪われる。

そのためレースでは、いかに自分のベストポジションを確保するかが鍵を握る。例えば選手2人が一列になって走る場合、後ろの選手は前の選手に比べて空気抵抗が約半分にまで減る。先頭をキープして逃げ切るか、後方で力を温存して一気に抜き去るか。スタートしてからラストスパート直前までは、選手同士の静かな心理戦が展開される。
「普通の運動部は、顧問の先生に決められた練習メニューをこなすところが多い。でも、僕らはいつも自分たちで考えて走っている。それがレースの駆け引きに役立っていると思います」と竹村選手は話す。

競技に使う自転車も、自分たちで責任を持って整備しているという部員たち。駆け引きを制する精神力は、己を律する心から生まれている。

◆浜松学院高校自転車競技部
1979年創部。部員数23人。普段は一般道で練習、休日は豊橋や伊豆にある練習場で技術を磨いている。今年は竹村行央、鈴木陸来、伊東小紅の3選手が大分県で開かれる全国高校総体に出場予定。