教育

部活戦記

静岡県立磐田農業高校・馬術部

(2013年8月8日号掲載)

泥にまみれて、馬と一つになる。

雨の中で行われた全国高校馬術競技大会

馬術を優雅なスポーツだと思っている人がいるなら、それは間違いかもしれない。

磐田農業高校の馬術部員は毎日、放課後になると学校から3km離れた乗馬クラブに向かう。練習着に着替えたら、馬房から馬を出して鞍(くら)や手綱などを装着。馬場を走り、障害物を飛び越える練習を行う。
騎乗時間はわずか15分程度だ。それ以上は馬も人も体力が持たない。練習が終わると、馬の体を洗ったり馬房を掃除したりする。各自、愛馬にエサを作って与えるなど、1時間以上を馬の世話に費やす。

「馬術は騎手と馬との信頼関係が大切。馬は賢い動物だから、こっちが怖がると言うことを聞いてくれないんです」と部長の伊藤由貴さん(3年)。落馬をすればケガもするし、泥まみれにだってなる。一見、華麗に見える競技の裏側には、文字通り泥臭い日々の積み重ねがあった。
「試合では実力の6割ぐらいしか出せません。コースや馬の状態は、当日にならないと分かりませんから」

先月出場した全日本高校馬術競技大会は、小雨が降る中で行われた。障害飛越競技による高校日本一の座を争うこの大会は、日々練習してきた馬ではなく、主催者から貸し出された馬で試合を行う。
「馬に乗った瞬間、『この馬、あんまり集中してないな』と感じた」という伊藤さん。競技中は足を使って馬の腹を押し上げ、ひたすら前に進むようにけしかけた。それと同時に頭の中では、次の障害までの距離から必要な歩数の計算が行われる。
「騎手が緊張していては、馬も高く跳ぶことができない。馬の性格をつかんで、気持ちよく走れるように盛り上げられるかが勝負の鍵を握ります」

規定タイム以内にコースを走り、10個の障害物を飛び越えるのが障害飛越競技のルール。彼女は土のぬかるみをものともせず、障害をノーミスで走り切った。

◆磐田農業高校馬術部
部員7人。今年はブロック大会を勝ち抜き、全日本高校馬術競技大会に出場。3人による団体戦で健闘するも初戦敗退となった。