教育

音の種まき 浜松市文化振興財団の挑戦

子どもを育む音の力

(2013年8月22日号掲載)

7月中旬の土曜日。はまホールで行われているジュニアオーケストラとジュニアクワイアのレッスンを訪ねた。練習室に入ると、子どもたちが「こんにちは!」と大きな声であいさつしてくれる。メンバーはオーディションによって選ばれ、それぞれ小学4年生から高校3年生までの約100名が所属している。

浜松市文化振興財団が運営するこの二つの楽団は、「音楽による青少年の育成」を目的に1994年に設立された。卒団生の中にはプロの演奏家になったり、音楽関係の仕事に携わったりする人も多い。団員たちは現在、9月に行われる定期演奏会に向けた練習の真っ最中だ。

子どもたちは音楽を通じて、二つの力を身につけていく。一つは、自分の感じたことを表現する力だ。ジュニアオーケストラの砂川史奈さん(高校3年)は「最初は上級生の演奏を真似ることで精一杯ですが、慣れてくると音に気持ちを込められるようになる」と話す。楽団のリーダーとなった今年度は、自分のイメージを後輩たちに伝える方法を模索する日々が続いている。

もう一つは、周りの人に自分を合わせる力だ。外川眞理さん(高校3年)がジュニアクワイアに入団したのは小学3年生の時。「入ったばかりの頃の自分は協調性がなく、団の雰囲気に全然なじめていなかった」と振り返る。「でも、1回ステージに立ってみんなと歌ったら、自然に友達ができるようになったんです」。合唱を通じて人をまとめる楽しさに目覚め、中学時代は生徒会長を務めたという。

練習中も心を一つにして、美しいハーモニーを響かせる子どもたち。自己表現力と協調性。一見、矛盾しそうな二つを難なく両立させてしまうのが、音楽の持つ力なのかもしれない。

ジュニアオーケストラ浜松/ジュニアクワイア浜松第19回定期演奏会