教育

負けて悔しい将棋の世界。

(2013年9月5日号掲載)

将棋ほど負けて悔しいゲームはない。
なぜって、トランプや麻雀と違って運が絡まないから言い訳ができない。対局後に「負けました」と言って相手に頭を下げるのもつらい。そのほか、一手のミスで逆転される、勝っていたのに時間切れになる、時々子どもに負かされる、など理由をあげれば枚挙にいとまがない。

浜松は将棋が盛んな土地だといわれている。日本将棋連盟浜松支部と浜北支部では月に1回、将棋大会を開催。大会が毎月行われる地域は珍しく、市内外から集まった老若男女100人以上が互いに腕を競い合っている。

スポーツの場合、大人と子どもが戦ったら身体能力の高い大人が勝つだろう。ところが将棋にはそのハンデがない。むしろ若い方が頭の回転は速いから、子どもが大人を負かすことが全然珍しくないのである。
現に7月に行われた浜北支部の定例会では、大会最高レベルのSクラスで中学1年の大城快之君が優勝。妹の千花ちゃん(小学5年)もAクラスで優勝し、全5クラス中4クラスを小~中学生が制覇した。

対局を見ていると、指し手のキャラクターがなんとなく分かるから面白い。例えば快之君は「石田流」という戦法をよく使う。これは飛車・角行・銀将・桂馬といった攻め駒を合理的に配置し、緻密に駒をさばいていく戦い方だ。数学が得意という快之君らしい戦法である。
かたや千花ちゃんの愛用戦法は「棒銀」。銀将を一直線に突進させ、敵陣を押しつぶす戦法だ。女子力、恐るべし。

そんな大城兄妹に強さの秘密を尋ねると「勝負がついた後に、必ず感想戦をして対局を振り返ること。自分の悪かったところをちゃんと認めて反省しなくちゃ、強くなれないと思います」と大人顔負けの答えが返ってきた。
やはり将棋ほど負けて悔しいゲームはない。