教育

部活戦記

浜松修学舎中学・高校トランポリン部
涙をふけ、壁を跳び越えろ。

(2013年11月7日号掲載)

空中で演技の練習をする部員。跳躍の高さは時に身長の2倍以上になる

人生とトランポリンはよく似ている。どちらも下に沈み込んだ人ほど、より高く跳び上がることができる。
1回、2回、3回……。体育館に並んだ3台のトランポリンを使い、浜松修学舎の部員たちは何度も何度も宙を舞う。まずは垂直跳び。その後は空中で回転やひねりを加えるなど、自分の課題としている技の練習を行う。

トランポリン競技のルールはシンプルだ。選手は器具の反発力を利用し、10回連続で跳躍を行う。その間に繰り出される技の美しさや難易度、滞空時間の長さをポイント化し、得点の総計で順位を競い合う。

重要なのは、着地の瞬間だ。ほんの少しでも着地の地点がずれるだけで、ジャンプの軌道は大幅に変わる。ベッドと呼ばれるマット部分に正しい姿勢で沈み込まなくては、美しいジャンプを実現させることはできない。

練習の途中、体育館の隅で肩を震わせている部員がいた。技がうまく決まらずに、悔し涙を流していたのだ。こうした光景も部内では日常茶飯事だという。

地域の小学生にも門戸を開いている同部。部員たちに混じって子どもたちが練習に励んでいる

足からだけでなく腹や背中など、落ち方にもさまざまなバリエーションがある

「自分ではもっとうまくやりたいと思っているんです。でも、体が全然動かなくて、嫌になってしまうことも時々ある」。部員の落合侑美さん(中学2年)はそう話す。

どんなに運動神経が良かろうと、空中では物理法則に従うしかない。自分の力ではどうにもできない壁にぶつかった時、そのもどかしさが涙に変わって頬を伝うのだろう。

それでもなぜ、部員たちは跳び続けるのか。
部長の池ケ谷彩夏さん(高校3年)は「一度泣いちゃえば気持ちがスッキリして、また挑戦しようと思える。できなくて悔しかった分、技がきれいに決まった時は本当にうれしいんです」と話す。

トランポリンに乗ることでしか、眺められない景色がある。そのことを、部員たちは知っているのだ。

◆浜松修学舎中学・高校トランポリン部
1973年創部。部員は中学・高校合わせて23人。今年の高校総体は男子シンクロ4位、女子団体5位。浜松には同部の卒業生が設立したクラブチームが4つあり、地域のトランポリン文化の拠点となっている。