教育

部活戦記

磐田東高校囲碁部
石の価値は、自分が決める。

(2013年11月28日号掲載)

部活中、対局に打ち込む伊藤君(左)ら全国ベスト8のメンバー

「囲碁は高校に入ってから始めました。特にやりたいわけではなかったのですが……。正直言って、消去法で選んだ部活でしたね」

今年全国ベスト8入りを果たした磐田東高校囲碁部の伊藤慧君と松原久哉君(ともに3年)はそう話す。
囲碁は今から約4000年前、中国で誕生したといわれる遊戯だ。対局者は19×19マスの碁盤に黒と白の石を交互に置き合い、石で囲った地の広さを競い合う。陣地を拡大するため、いかに相手の打ちたいところに石が置けるかが勝負の鍵を握る。

入部間もないころ、伊藤君は部員たちと磐田市内にある「めいえん囲碁サロン」に足を運んだ。中国棋院プロ棋士の梅艶(めいえん)さんが営む碁会所だ。彼はそこに通い詰めているという小学生と対局し、見事に惨敗を喫した。
「あまりに強くてびっくりしたけど、面白かったですね。終わった後に『この場面はこう打った方が良かったね』と教えてくれて、なるほどと思った」

そこからは囲碁漬けの日々だった。詰碁、対局、棋譜並べ…。大会前には梅艶さんの特訓を受け、基礎をみっちり叩きこまれた。「勉強そっちのけで学校の先生に怒られたこともありました」と伊藤君。

今年6月の県大会では、ライバル・浜松北高との戦いを制し、全国大会の切符を奪取。全国ではリーグ戦を勝ち抜き、ベスト8入りを果たした。対局後、戦った相手に「高校から囲碁を始めた」と告げると、とても驚いた表情をしていたのが印象的だったという。

「囲碁を初めたばかりの頃は『とりあえず1勝』が目標でした。でも、全国に出場したことで、もっと上を目指そうという気持ちが芽生えた。頑張れば何とかなるという自信がついたんですよ」

囲碁には、将棋やチェスのような駒による性能の優劣がない。石の価値は、自分自身が決めるのだ。

磐田東高校囲碁部
2002年創部。部員数15人。伊藤慧君、松原久哉君、桑原啓吾君(2年)の3人で出場した全国高校囲碁選手権男子団体戦で8位を獲得。過去最高成績は全国大会準優勝。