教育

企画:ナマケモノ倶楽部 浜松主催:遠州トランジションタウン

セヴァン・カリス=スズキ浜松講演会

(2014年3月13日号掲載)

大企業が影響力を持つ時代

[プロフィール]
セヴァン・カリス=スズキ
環境・文化活動家。日系カナダ人4世。9歳でEOO(子ども環境NGO)を立ち上げ、環境活動を開始。1992年、12歳の時にリオデジャネイロで開催された地球サミットで「直し方のわからないものを、これ以上壊すのはやめてください」と訴え、伝説のスピーチとして今なお感動を呼び続けている。2歳と4歳の男児の母として、先住民族ハイダの夫とともに伝統文化継承のための活動や環境活動に力を注いでいる。出演映画『セヴァンの地球のなおし方』、著書『あなたが世界を変える日』ほか。

1992年、私はリオデジャネイロで開催された地球サミットに参加しました。当時、私はまだ12歳でしたが、リーダーに声を届ければ、彼らが世界を変えてくれるものだと思っていました。
そして、リオ+20の時に、20年前との大きな違いに気づきました。それは、大企業の影響力と政府の力のなさ。今日私たちは、一つの大企業が、ある国の経済を超える社会に生きています。アメリカのある大型スーパーマーケットチェーンの経済規模を国に置き換えると、世界25位。その企業より経済規模の小さな国が185か国も存在するわけです。企業が追及するのは利益であり、そこに一般市民の姿はありません。政府を凌駕する力を持った企業の出現により、世界的に政府の危機が生じています。
こうした状況の中で、私たちはどうしたらいいのでしょうか。

今こそ、草の根レベルで変革を起こす時

変革に向けた人間のエネルギーというものは、計り知れない力となります。国際レベルで見れば、持続可能な社会づくりに向けての政治的なリーダーシップには幻滅せざるを得ませんが、市町村レベル、草の根レベルに目を向けると、素晴らしい例が数多くあります。
ベルギーには自動車より自転車が多い町があり、イギリスのブリストルでは市長の給料が全額地域通貨で支払われています。また、キューバのハバナでは都市農業が社会問題や飢餓問題の軽減に貢献。私が生まれ育ったカナダのバンクーバーでは、都市内で栽培された食物を食べるという運動が若者の間で急速に広がっています。
ブータンの国民総幸福(GNH)は、真の豊かさ、真の富は何かという核心的な問いを私たちに投げかけます。 グローバル化された社会機構はもはや破綻寸前なのです。こうした中、現状を自分たちの手で変えていこうという活動があちこちでスタート。トランジションタウンやスロームーブメントという日本で展開されている運動の中にも見ることができます。

希望と愛が世界を変える

エネルギーに目を向けると、化石燃料に将来性がないことが明らかになってきました。ドイツでは、再生エネルギーの組合せによりエネルギー問題を解決する動きがあります。オーストラリアでは、すべての電力を再生エネルギーでまかなえるという考えが出ています。
このように、昨日できなかったことが今日できるようになっている。今日できなくても明日はできるかもしれない。ネルソン・マンデラ氏は27年投獄されていましたが、20年くらいの時点で希望を失っていたでしょうか。
私は、希望とは「変化を生み出す人としての力」だと思います。希望は私たちが生き残っていくことに直結するもの。希望は「命を愛する力」であり、「未来を求める愛の力」ともいえます。
人間が持つ最も大きな力、それは「愛の力」です。「希望と愛」。この二つはとても強く結びついています。愛はお金で買えません。愛を縛り付けておくこともできません。そして、愛というものを侮ってはいけません。
私たちの希望と愛を体現する存在として、子ども以上のものがあるでしょうか。子どもに対する希望と愛を道標に、新たな社会への変革を推し進めていきましょう。

【トランジションタウンについて】
セヴァンさんの講演にもたびたび名前が登場した「トランジションタウン」とは、持続可能な地域社会への移行(トランジション)を目指す、世界的なネットワーク。今回の浜松講演にあたっては遠州トランジションタウンが中心となり、市民がボランティアで準備・運営にあたった。
活動参加に関する問合せはメールで次のアドレスまで。
enshu.tt@gmail.com