教育

第3回 浜松学院大学 教授 津村公博さん(多文化教育)

(2014年11月6日号掲載)

ブラジル人の子を追うドキュメンタリーを制作

外国人の生活から、日本の未来が見えてくる。

津村公博さん――先生は大学教授にして映画監督でもあるそうですね。
津村 浜松に住むブラジル人の生活を追った、ドキュメンタリー映画を撮影しています。2年前に公開した「孤独なツバメたち」は、出稼ぎで浜松に来たブラジル人の子ども達の現実を追った作品。今は彼らが結婚し、子を持った時に直面する問題を扱った作品を撮影中です。

――なぜブラジル人の子どもを追っているのですか?
津村 私のそもそもの研究テーマは「多文化教育」です。人は自分と異なる文化をどのようにして受け入れるのか、ということに関心があります。出稼ぎブラジル人の子どもの中には日本で生まれ、ブラジルを知らないという子もたくさんいるんですよ。一方で、社会保障とか義務教育は外国人として扱われる現実がある。その矛盾が社会へ出るときに大きな壁になっているわけです。

津村教授と学生らは11月16日、大学祭で「多文化芸術祭」を開催。映像作品「わたげのミーシャ」の上映と英語によるトークイベントを行う

――普段はどのような活動をしているのですか?
津村 外国人の子どもたちに路上で声を掛けて、学校や職場のことを聞きとっています。今までに500人は聞いたかな。映画を撮り始めたのも、研究資料としてインタビュー映像を記録したのが始まりです。

――いきなり声を掛けて、話してくれるんですか?
津村 ええ。みんな心の中では、自分の存在を分かってもらいたいと思っているんですよ。彼らはたいてい貧しい家庭に育って、親の苦労を見ている。学校に満足に行けない子も多くいますが、同世代の日本人の子に比べて自分というものをしっかり持っていますよ。

ブラジル人の子どもの生活を追った「孤独なツバメたち」

――研究のやりがいはどんなところにありますか?
津村 外国人の暮らしを知ることで、今の日本が分かることですね。例えば不登校の子とか、雇用が不安定な人って日本人にもいっぱいいるじゃないですか。社会のひずみの影響を真っ先に受けるのが外国人なだけであって、その裏には似たような問題を抱えている日本人が大勢いるわけです。映画を通じて、大勢の人に実情を知ってもらい、社会制度を見直すきっかけになればいいと思っています。