教育

生き物ウォッチ File.2

ミツバチの女子力に注目しよう。

(2015年5月14日号掲載)

4~5月に見られる「分蜂」は蜂のお引越し。巣作りに適した場所が見つかるまで、固まってじっとしている

まずは右の写真をご覧いただきたい。一見、造り酒屋の軒先に吊るす「杉玉」のようにも見えるが、実際はこれ、数千匹に上るミツバチの大群なのだ。

「分蜂」と呼ばれるこの現象。春になるとよく見られる、ミツバチの"引越し"だ。巣の中で新しい女王蜂が誕生すると、母親の女王蜂は大勢の家族を引き連れ、新しい巣を求めて旅立つ。

ニホンミツバチの働き蜂。外に出て蜜や花粉を採りに行くのは、巣の中でさまざまな経験を積んだベテランたちだ

新女王は、半分の家族とともに古巣に残る。次の女王が誕生したら今度は自分がお引越し。こうしてミツバチは自分の一族を増やしていくというわけ。

ハチの世界は完全に"女社会"だ。「女王蜂」はもちろん、巣の大半を占める「働き蜂」も全部メス。ハチの武器である毒針も、産卵管が変化したものだからメスしか持っていない。

雄蜂の役割は交尾をすることだけ。空中で女王蜂と交尾した後はすぐに死んでしまうのだ

女王蜂も働き蜂も、同じ幼虫から成長する。大勢の中から"女王候補"に選ばれた幼虫だけが、ローヤルゼリーを食べ続けることで女王蜂になるのだ。女の子は誰でも女王様になれる素質を持っているんだね。

女王になれない幼虫は働き蜂になり、最初は掃除や子守りなどを行う。10~20日経つと、巣を作ったり、修復したりする職場に異動。その後、門番を経て花粉や蜜を集める営業部門に配属される。

タンポポに止まるセイヨウミツバチ。花の蜜とハチの持つ酵素が合わさることで、おいしい蜂蜜になるのだ

その間、オスは何をしてるのかというと、巣の中で遊んで暮らしている。出番は交尾の時だけ。冬が近づくと、口減らしのために巣を追い出されることもしばしば。ちょっとかわいそうだね。

ちなみに、女王蜂が死ぬと、働き蜂が代わりに卵を産むことがある。ただし、交尾をしていないメスが産む卵からはオスしか生まれない。つまり、女王亡き後の巣の中は一転、"男社会"になってしまうのだ。オスだらけになった巣が、崩壊の一途をたどるのは言うまでもない……。

【取材協力】
谷野純夫さん(常葉学園中学・高等学校長)
浜松オープンガーデンの会、遠州自然研究会の会員。
季節ごとにさまざまな種類の蝶を観察することができる「バタフライガーデン」を開放中。
浜松市西区大久保町211-275