教育

生き物ウォッチ File.7

おとぎ話のモデルになったアリに迫る!

(2015年11月12日号掲載)

イソップ物語に「アリとキリギリス」という、おとぎ話がある。有名な話だから知っている人も多いだろう。

夏の間、歌を歌って過ごしていたキリギリスと、食べ物を蓄えるために働き続けていたアリ。いざ冬が来ると、キリギリスは飢え死にしそうになり、アリに食べ物を分けてもらえないかと頼み込む――というのが主な筋書きだ。

実はこの物語のアリにはモデルが存在する。秋になると活動を開始する「クロナガアリ」だ。アリと言えば、普通は虫の死骸などを食べる"肉食系"が一般的。しかし、このアリは雑草の実などの穀物を好んで集める習性を持っている。

「アリとキリギリス」のモデルになったクロナガアリ。イネ科やシソ科、タデ科などの種子を蓄えて冬を越す

畑や公園などに巣を作る。巣の周りには門番やエサを運ぶアリたちが集まっている

大きなアゴで穀物をくわえて、巣の中にエサを運びこんでいく

今の季節、クロナガアリの巣の周りを観察すると、ひっきりなしに実を運び込む姿が観察できる。そんなに実を集めたら、巣の中がエサですぐにいっぱいになってしまうように思うが、ご安心あれ。クロナガアリの巣は全長なんと約4m、長いものでは7mに達し、内部に無数の貯蔵庫が作られているのだ。

クロナガアリは冬から翌年の秋まで、貯め込んだ実を食べながら巣の中で過ごす。巣の中はアリの放つ殺菌力のあるにおいが充満しているから、エサも腐りにくい。実を食べる時は皮をきちんとむいて食べ、皮は巣の中にあるゴミ置き場に捨てるというから驚きだ。

いざという時に備え、堅実に植物の実を集める"草食系"のクロナガアリ。もしキリギリスがクロナガアリ以外の巣を訪ねていたら、キリギリスがその日の晩ごはんにされていたかもしれない。

【取材協力】桶ケ谷沼ビジターセンター 細田昭博さん
磐田市岩井315 TEL.0538-39-3022
さまざまな生き物や自然に触れることができる桶ケ谷沼。ビジターセンターではパネルや標本で貴重な動植物について知ることができる。12月13日(日)の午前9時半~11時半は「環境にやさしい工作教室」を実施。定員20名(先着順)。希望者は電話で申し込みを。