教育

生き物ウォッチ File.8

オシドリは"おしどり夫婦"ではない?

(2015年12月10日号掲載)

カラフルな羽を持つオシドリのオス

イソップ物語に「アリとキリギリス」という、おとぎ話がある。有名な話だから知っている人も多いだろう。

夏の間、歌を歌って過ごしていたキリギリスと、食べ物を蓄えるために働き続けていたアリ。いざ冬が来ると、キリギリスは飢え死にしそうになり、アリに食べ物を分けてもらえないかと頼み込む――というのが主な筋書きだ。

実はこの物語のアリにはモデルが存在する。秋になると活動を開始する「クロナガアリ」だ。アリと言えば、普通は虫の死骸などを食べる"肉食系"が一般的。しかし、このアリは雑草の実などの穀物を好んで集める習性を持っている。

白黒の見た目から"パンダガモ"と呼ばれるミコアイサ

黄色いくちばしと緑色の頭が特徴のマガモ

つがいで一緒にいる姿から「おしどり夫婦」の語源となった

今の季節、クロナガアリの巣の周りを観察すると、ひっきりなしに実を運び込む姿が観察できる。そんなに実を集めたら、巣の中がエサですぐにいっぱいになってしまうように思うが、ご安心あれ。クロナガアリの巣は全長なんと約4m、長いものでは7mに達し、内部に無数の貯蔵庫が作られているのだ。

浜名湖北部にやってくるスズガモの大群。その数、数千羽に及び、冬の風物詩となっている

クロナガアリは冬から翌年の秋まで、貯め込んだ実を食べながら巣の中で過ごす。巣の中はアリの放つ殺菌力のあるにおいが充満しているから、エサも腐りにくい。実を食べる時は皮をきちんとむいて食べ、皮は巣の中にあるゴミ置き場に捨てるというから驚きだ。

いざという時に備え、堅実に植物の実を集める"草食系"のクロナガアリ。もしキリギリスがクロナガアリ以外の巣を訪ねていたら、キリギリスがその日の晩ごはんにされていたかもしれない。

【取材協力】日本野鳥の会 遠江
TEL.053-484-0525(松岡さん)
全国に約90ある日本野鳥の会の支部の一つ。定期的に一般参加OKの探鳥会を実施している。来年1月は3日(日)佐鳴湖、17日(日)天竜川河口、23日(土)県立森林公園、30日(土)桶ヶ谷沼、31日(日)小笠山総合運動公園で開催される。