教育

ウナギ博士の講演会

世界初 天然ウナギの卵を獲ったぞ

(2016年2月11日号掲載)

マリアナ沖で発見

1時間半の講演は笑いの絶えない講演となった

古代ギリシャのアリストテレスは有名な著書「動物誌」の中で「ウナギは大地のはらわたから自然発生する」と書いている。実際は卵から生まれるのだが、その卵が「うなぎ博士」こと塚本勝巳氏(日本大学・生物資源科学部)によって発見されたのは今からたった7年前のことだ。

1月23日、静岡大学浜松キャンパス・佐鳴会館会議室で塚本氏による講演会「うなぎ博士が語る!ウナギのふしぎ」が行われた。会場には小学生からおじいさんおばあさんまで、ウナギに興味津々の人たちが150人以上集まった。

広い太平洋で、ウナギの産卵場所を特定するのは容易ではない。日本がニホンウナギの研究を始めたのは1930年代。1973年には東京大学海洋研究所(現・東京大学大気海洋研究所)が調査に乗り出した。その方法は黄ウナギからさかのぼって、シラスウナギ、大きな赤ちゃんウナギ、小さな赤ちゃんウナギ…と、だんだん仔魚(しぎょ)を採取していくというもの。1991年と1994年にマリアナ諸島西の海域で10mm前後の仔魚が約2000匹採種されたことから、そこが産卵場であることが特定された。

仮説を立てて調査

聴衆の中には、ウナギの赤ちゃんの学名
「レプトセファルス」を答えられる少年もいた

それから15年の歳月を経た2009年5月。遺伝子解析装置を載せた船で海に出た塚本氏は、ついに天然の親ウナギのおなかの中から卵を採取することに成功した。実験室では仮説を立てて確認することは当たり前。実験室での活動が多かった塚本氏は過去の事実を基に「産卵は夏の新月に行われる」などの仮説をフィールド調査でも果敢に取り入れ、世界初の偉業を成し遂げた。

謎に包まれたウナギの赤ちゃんも現在では生態展示できるほど実態が解明されつつある。今後はウナギがどうやって産卵場所に戻るのかという謎が待っている。塚本氏は会場に集まった子供たちに「『知る』ことと『分かる』ことは違う。大人はなんで?なんで?と質問すると嫌がるかもしれないけど、どんどん聞いて、そこから考えをめぐらせて『分かる』にたどり着いてほしい」とメッセージを送った。

ウナギ博士に挑戦!

あなたはウナギのこと、どれだけ知っていますか?

ウナギにうろこはある?ない?
A.ある B.ない
ウナギはどこで生まれる?
A.川 B.河口 C.海
ウナギの数はどのぐらい減った?
A.ごくわずか B.半分 C.1/5 D.1/10
ウナギが減った理由は?
A.獲りすぎ B.エサが少なくなった C.隠れる場所が減った D.川が汚くなった E.海の環境が変わった
答え
  1. A.ある.小判型のうろこが皮膚に埋没している。おなかの卵が大きくなるとクッキリ見えるようになる。
  2. C.海.塚本氏が卵を採取したのはグアムの西側、マリアナ海溝付近の海だ。
  3. D.1/10.1970年に比べてシラスウナギは1/10に減った。
  4. すべて.A~Dは人間の努力で改善できること。ウナギ保全のために何ができるか考えよう。