教育

花鳥風月-今月の自然

ホトトギス

(2016年5月12日号掲載)

夏の到来を告げる鳥

ホトトギスといえば和歌や俳句にもよく登場する、日本人が大好きな鳥。しかし、その姿を見たことがある人は案外少ないのでは。

毎年5月の中旬頃になると日本にやってくるホトトギスは、古くから夏を告げる鳥として親しまれてきた。キョッキョ、キョキョキョキョ!と激しく鳴くことから「血を吐くまで鳴く」と評されることもある。中国では帝王の霊魂が宿る鳥とされ、農耕の季節を民衆に知らせるためにけたたましく鳴くという伝説が残されている。

そんな鋭い鳴き声とは裏腹に、外見は実に地味。翼は黒褐色、頭は灰色で特徴的なのは胸の縞模様ぐらいだ。見た目はカッコウと良く似ていて、野鳥観察のエキスパートでも鳴き声を聴かないと判別しにくい。

ところで、 ホトトギスはなぜ初夏に姿を現すのだろう?夏鳥は普通、暖かくなった4月ごろに日本へ渡って繁殖活動を行う。つまり、ホトトギスはそれらの鳥より若干遅く渡来しているのだ。

この謎を解く鍵は、ホトトギスの「托卵」の習性にある。托卵とは、別の種類の鳥に自分の子どもを育てさせる行為のこと。ホトトギスは自分で子育てせず、主にウグイスの巣に卵を産みつけて子育てを任せっきりにしてしまうのだ。

つまりホトトギスは、ウグイスが卵を産み始める時季を見計らって日本へやってきているということになる。森の中を散策していてホトトギスの鳴き声が聞こえたら、近くにウグイスもいると考えて差し支えないだろう。

時鳥(ほととぎす)は「春は花夏ほととぎす秋は月冬雪さえてすずしかりけり」の歌の通り、雪月花に並ぶ夏の美目である。この句は、奥浜名湖の小高い丘で詠んだもの。真っ赤な夕日がまさに落ちんとした時、後ろの山で時鳥が啼いた。美しい声であった。

【取材協力】日本野鳥の会 遠江
URL http://wbsjtm.com
5月22日(日)午前8時~11時に、佐鳴湖で「バードウォッチング入門」と題して野鳥観察会が行われる。申し込み不要、希望者は西岸ひょうたん池付近、時計塔横のあづまやに集合を。持ち物は飲み物、帽子、雨具、双眼鏡(無料貸し出しもあり)。初心者大歓迎。
松岡さん 090-7020-9748

このコーナーでは毎月1回、季節ごとの自然の見どころを、地元俳句結社の句を添えてお送りします