教育

花鳥風月-今月の自然

月-つき-

(2016年9月1日号掲載)

十五夜が満月とは限らない

ふるさと舞阪の太鼓祭を詠んだ一句。この祭りは、昔の仕来り通り旧暦9月14・15日に実施されている。豊漁を願う岐佐神社の大祭である。本祭りはちょうど満月の晩。八つの大太鼓の音が、街を震わせ、海を震わせていた。

秋といえばお月見。今年の十五夜は9月15日だ。十五夜は「中秋の名月」とも呼ばれ、旧暦の8月15日に見える月を指す。旧暦では7~9月が秋となるため、真ん中の8月を「中秋」と呼んだ。

秋の月はなぜ美しいのか?理由はさまざまだが、一つには「高さ」がある。月の見える高さは夏が最も低く、冬が最も高い。秋はその中間となるため、ちょうど眺めやすい高さとなるのだ。

空気が澄んで晴れの日が多いのも理由の一つだろう。季節は折しも、収穫の季節。昔の人はお月様に秋の草花や食べ物を備え、感謝や祝いの気持ちを込めた。

昔の人にとって、月は日付を教えてくれる重要な情報源だった。太陽暦で暮らしている現代と違って、明治初頭までは月の満ち欠けを基準に暦を作っていた。新月(月がすべて欠けて見えない日)を1日とすると、満月になる日は15日目に当たる。これが「十五夜」の由来というわけだ。

ただし、十五夜の日に必ず満月が見られるとは限らない。暦の上の日付と実際の天体の動きにはズレがあるため、十五夜の1~2日後に満月となる場合が多い。ちなみに今月の満月は9月17日だ。

なお、十五夜に対して、十三夜という言葉もある。これは旧暦の9月13日に見える月のことで、「後の月」とも呼ばれる。江戸時代には十五夜と十三夜、両方見ないと縁起が悪いというジンクスまであった。今年の十三夜は10月13日。どちらも眺めて秋の夜長を楽しみたい。

【取材協力】浜松市天文台

浜松市南区福島町242-1 ☎053-425-9158

9月15日(木)午後7~9時に遠州灘海浜公園で「中秋の名月観望会」を、10月13日(木)午後6時半~8時半は天文台で「十三夜観望会」をそれぞれ開催。天体望遠鏡で月を観察したり、スタッフによる解説を聞いたりできる。いずれも参加無料、申し込み不要、時間内出入り自由。
写真提供/浜松市天文台事業協力者 西岡毅さん