教育

子どもに伝えたい遠州の民話(2)

ちん玉羽織 -湖西市白須賀-

(2016年11月24日号掲載)

遠州地域には、不思議な民話がたくさん残っています。今回は、禮雲寺の加藤憲学和尚による「ちん玉羽織」のお話を紹介します。

ちん玉羽織を着ると、何かいいことが起こるそうだ。

語り部・加藤憲学さん(禮雲寺前住職)

昔、白須賀に一人の若者がおりました。その若者は怠け者で大変なよくばりで有名でした。

ある日、若者が酒屋に酒を飲みに行くと、隣の部屋から話し声が聞こえてきました。

「玉さんという人の家には、ちん玉羽織があるらしい。その羽織を着ると、何かいいことが起こるそうだ」

さっそく若者は、玉さんの家に行きました。すると玉さんは、こう言いました。

「この羽織は、心のきれいな人や働き者の人にしか貸せません」

話を聞いた若者は心を入れ替えて、お寺へ入って修業を始めました。そのうち、修業が楽しくなって、羽織のことなど忘れてしまいました。

ある日、玉さんがお寺に来て、若者の働きぶりを見ていました。すると、醜い顔の女の人が寺にお参りにきていました。女の人は手を合わせながら言いました。

「どうかいい人のところにお嫁にいけますように」

かわいそうに思った玉さんは、ちん玉羽織を貸してあげることにしました。女の人は喜びましたが、いつまでたってもいいことがありません。何日か過ぎて、玉さんは「女の人のところへ羽織をもらいに行ってくれ」と、怠け者だった若者に頼みました。

若者が女の人のところへ行くと、「玉さんにお礼を言いたい」と言います。なので、二人で一緒に玉さんのところへ、羽織を返しにいきました。

玉さんは「今度はお前に貸してやる」と、働き者になった若者に羽織を着せてあげました。そして「そうだ、お前たちはいい夫婦になれるぞ」と、手を打って言いました。

そんなわけで二人は結婚することになりました。結婚式の日、醜かった女の人は、とても美しくなっていました。これもちん玉羽織のおかげ。夫婦は玉さんに感謝して、末永く幸せに暮らしました。

ちん玉羽織が納められたと伝わる「ちん玉地蔵」。今も禮雲寺となりの十王堂に大切に祀られている