教育

鷹(たか)

(2016年12月1日号掲載)

クマタカ

能ある鷹は本当に爪を隠す

どこまでゆけば鷹に逢えるのだろうと、遠つ淡海(浜名湖)まで車を走らせた。小春日の穏やかな湖は、静かに波を寄せていた。ふと目を凝らすと波間に鳥の姿があった。近付いてみると、なんと双鷹であった。もしや恋の逃避行か?目は鷹狩りのそれとは違っていた。炯々(けいけい)と獲物を狙っているその眼ではない。

冬はバードウォッチングに最適の季節といわれる。木の葉が落ちて、鳥が見つけやすくなるからだ。寒い時季にしか見られない渡り鳥も多く、小鳥や水鳥などさまざまな姿かたちをした鳥たちを楽しめる。

そんな鳥の中でひときわ存在感を放つのが、猛禽類である鷹だ。鋭い爪とクチバシで、動物や小鳥を捕まえる空のハンター。今の季節なら山にクマタカやハイタカ、里山にはノスリといった種を見ることができる。

「能ある鷹は爪を隠す」ということわざ通り、鷹の最大の武器は「爪」だ。

鷹の足には4つの指があり、その中で親指と人差し指に当たる指の爪が最も長くなっている。反対に中指の爪はその半分、薬指はさらにその半分程度の長さしかない。鷹はこの2本の爪でがっしりと獲物を捕まえる。一説には、爪が心臓に届く大きさまでの動物を獲るといわれている。

知能が高いのも鷹の大きな武器。ノスリは獲物を狙う時、太陽を背にして襲い掛かる。相手の目をくらませて捕まえやすくするための知恵だ。記憶力も良く、人の顔は一度覚えたら忘れない。

そんな鷹の知能と戦闘力を活かして行われた狩猟が「鷹狩り」だ。戦国時代には武芸の一種として広まり、中でも徳川家康は生涯で千回以上行ったといわれるほどのハマりようだった。後に徳川四天王の一人となる井伊直政を見出したのも、浜松城下で鷹狩りを楽しんでいた最中だったという。

木に止まって休んでいる時はおなかの毛に隠れて爪が見えないのも、先述のことわざ通り。鷹は動体視力が高いから、見つけた時はじっと動かずに観察を楽しもう。「一富士、二鷹、三なすび」。新年は鷹の夢が見られますように。

ミサゴ
ノスリ

取材協力/中村昌義さん(日本野鳥の会遠江・静岡県環境学習指導員)