教育

フグ

(2017年1月12日号掲載)

普段はめったに膨らまない

河豚漁の解禁になったある日、舞阪漁港を訪れた。この日は豊漁で、どの船からも籠いっぱいの虎河豚が荷揚げされていた。中には籠から飛び出すものさえいるではないか。そんな折の一句である。

高級魚で知られるフグは、代表的な冬の味覚の一つ。フグ料理といえば下関が有名だが、遠州灘沖は全国有数の天然トラフグの漁場だ。

フグを漢字で書くと「河豚」。実際は海に暮らす魚なのに、どうしてこんな字を書くのだろう?

まずは「河」という字。これは中国において、フグは河に生息する魚だったというのが理由とされている。「豚」の由来は、フグを釣り上げた時、「ブーブー」という豚に似た声をのどから出すことから。プクーとふくらんだ姿が、豚に似ているからという説もある。

そう、やはりフグといえば、体を風船みたいに膨らませる仕草が印象的。フグの体内には膨張嚢と呼ばれる袋があり、おまけにあばら骨がない。だから、思い切り海水を吸い込むことで体の3~4倍の大きさにまで膨らませることができる。自分の体を大きく見せることで、危害を加える敵を威嚇するのだ。

だが、膨らむのは結構体力を使うらしく、普段はめったにしない。身を守る方法はもっぱら、砂の中に隠れること。砂が目に入らないように、目を閉じることもできるのだ。

一番の防御策はなんといっても、体内に仕込まれた猛毒。肝臓や卵巣に貯め込まれた毒はテトロドキシンといって、致死量はわずか2~3mg。青酸カリの1000倍の毒性を持つという。

この毒はもともと体内にあるのではなく、自然界のエサの毒素が体内に蓄積したものといわれている。好物は小魚やエビ、カニ、貝類など。固い甲殻類の殻も4本の歯でバリバリと食べてしまう。食べ過ぎておなかがパンパンになることもしょっちゅうなのだ。

取材協力/浜名湖体験学習施設ウォット
浜松市西区舞阪町弁天島5005-3
053-592-2880
大河ドラマ「おんな城主 直虎」の放映を記念し、1月14日(土)から3月31日(金)まで、浜松・浜名湖に暮らす生き物たちの中から「トラ」の名前を持つ魚を展示。館内の水槽に隠れた「トラウツボ」「トラフグ」「トラザメ(卵)」を探して観察してみよう!