教育

花鳥風月-今月の自然

雉(きじ)

(2017年3月2日号掲載)

ケーンと鳴いて母衣(ほろ)を打つ

昨春、隠岐の島を訪れた。島のあちらこちらには、多くの雉の姿があった。晴れ渡った空の下、真っ赤な頭部が美しい。一晩泊まって明け方、オスたちはけたたましく声を上げ、日の出の時を知らせてくれた。

春は恋の季節。日本の国鳥・雉にとっても、元気いっぱいのシーズンが幕を開けようとしている。

赤い顔に、深緑の胴体。雉といえば、クジャクを思わせる派手な出で立ちが印象的だ。これはメスの気を引くための、オス特有の姿。メスは全身茶褐色で、意外と地味な色をしているのだ。

オスは気候が暖かくなると、「ケーン!」と大声で鳴いて縄張りを主張。羽を激しくばたつかせて、「母衣打ち」を盛んに行うようになる。自分を大きく見せて、メスにアピールするためだ。この鳴き声と母衣打ちが「けんもほろろ」の語源になったともいわれている。

そんな恋多きオスだが、子育ては一切メス任せ。メスは一度に約10個の卵を産み、一羽で面倒を見る。「焼野の雉子(きぎす)、夜の鶴」は、親の愛情を意味することわざ。野が焼けても子を守ろうとするぐらい、メスは母性愛が強いことで有名なのだ。

雉は1年中見ることができる鳥だが、普段は草むらに隠れていて、あまり飛ぶことはない。むしろ足が発達していて、時速32kmのスピードで走ったという記録も残っている。

この足は感覚も優れていて、地中の微妙な気配を感知するのにも役立つ。土の中にいる虫を探し出し、地面をほじくり返して食べるのだ。かすかな振動も感じ取るため、地震が起きる前は雉が騒ぎ出すという説もあるぐらいだ。さすがは地震大国・日本の国鳥である。

【取材協力】浜松野鳥の会

河合孝佳さん 053-436-6136

佐鳴湖を一周して、さまざまな野鳥を見る定期観察会を実施中。第1日曜、3~11月は午前7時半、12~2月は午前8時からスタート。参加希望者は当日、佐鳴湖東南岸の駐車場に集合を。

「花鳥風月」は今回が最終回です。ご愛読ありがとうございました。