グルメ

料理人のこだわり プロの道具

刺身包丁

(2012年10月25日号掲載)

これは誰にも触らせない 日本料理 繁松 石川明さん

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「短いのは初めて自分で買った刺身包丁です。まだ松菱があったころに手に入れたものなので、かれこれ10年以上使っています」。刺身包丁を2~3本並行使いしている中で、最初の1本も現役で石川さんとともに働いている。「これは『吉實』の包丁で、うちの親方がずっと使っているのに倣っています。昔、松菱の催事に吉實さんが出店されたんで見に行ったんですよ。そしたら、ついこの柳刃に見惚れちゃってね。そんな私を見た吉實さんが後で店に届けてくれたんです」。まだ若かった石川さんには安い買い物ではなかったが、先輩から譲り受ける包丁とは違い、喜びはひとしおだった。

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霞包丁は鋼に鉄を貼り合わせて作るもの。刃先の鋼は、研ぐとつややかな光沢を見せる。「包丁を研ぐときは刃を付けようと思ってはダメ。ベールを一枚ずつはがすように研ぐんです。包丁を研ぐのは見習いの仕事というお店もあるようですが、私はほかの人には触らせません」。刺身に料理人がする仕事は引く(切る)ことだけ。それゆえに腕が試され、こだわりがあるのだ。

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日本料理店の繁松は会席料理やすっぽん料理がメインだが、近年はハモやフグもメニューに加えた。「季節に応じておいしいものを召し上がっていただきたいという思いです。併せてフグやハモをさばく包丁も仕入れました。これからも繁松らしい料理を、新しい包丁と一緒に作っていきたいと思います」

 
 
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日本料理 繁松
浜松市中区千歳町58-1
TEL053-453-2591
創業昭和22年。花柳の町で会席料理やすっぽん料理をメインとした日本料理を提供している。