グルメ

料理人のこだわり プロの道具

阿吽、両雄 中華鍋とお玉

(2012年12月27日号掲載)

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中国料理 Wang 王 朝龍さん

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カンカーン!カカカ
中華料理店の厨房から響く甲高い音の正体は…

北京、広東、四川、上海。言わずと知れた中国四大料理には、食材や味にそれぞれ特徴があるのはわかるが、まさか道具に違いはないだろう。そんな思いは、王さんの話を聞いて一気に覆された。「広東式の中華鍋は二つ取っ手がありますが、北京式は棒状の取っ手が一本なんですよ」

厨房をのぞくと、さらに違いがわかると言う。「広東の料理人は一つの鍋を使って、その都度竹製の“ささら”で洗いながら料理を作っていきます。四川や上海は料理ごとに鍋を替え、使った鍋を横に積み重ねていくんです」

広東料理一筋の王さんは、もちろん一つの鍋を使ってすべての料理を作り上げていく。だから、たった3カ月しかもたず、写真のようなゆがんだ状態に。あえて言わせてもらうが、鉄製である。強い火力と、お玉でカシャカシャ、カンカン調理することによって、ここまで鉄が変形してしまうのだ。

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秋から冬の人気メニュー
「上海蟹の肉団子スープ仕立て」
上海蟹の旨味が詰まった贅沢な肉団子は、しっとりと柔らかな食感が特徴。あっさり仕立てのスープとともに

お玉もそれ一つですべての調理を賄い、さらに計量の役目も兼ねている。当然、醤油や酢などの調味料を置く位置も決まっていて、「お玉が届く距離を手が覚えているから、位置が違うと味加減まで変わってしまうんです」。お玉は王さんの手そのもの。握りやすいようにとグリップにガーゼを巻いて使用する。写真のお玉は現在11年目。「見た目は悪いけど、手にしっくりなじんで抜群の使い心地!あと9年はもつかな」と言って愛おしそうにグリップを握った。

 
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王 朝龍さん
ホテルオークラの中国料理「桃花林」でトータル30年腕を振るい、名古屋と浜松では料理長を務める。2002年に独立し、佐鳴台にて現在の店を開業。

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中国料理 Wang
浜松市中区佐鳴台6-26-1 TEL.053-449-6601
オープン11年目の本格広東料理店。ランチセットは1,800円~。秋冬限定の上海蟹のコースは8,000円~。