グルメ

Shinya Makino ― 牧野真也

(2014年9月25日号掲載)

味だけじゃダメ。居心地の良さで満点を目指す。

「次は、何か『すいじ』を頼むよ」。この一言に頭が真っ白になった。牧野真也さんはこれまで、さまざまな調理法でバリエーション豊かな創作料理を作ってきた。仕事は効率よくできているし、出した料理も客に喜ばれてきた。ところが今回は、客が注文する「すいじ」の意味が分からない。「すいじ」とは漢字で「吸い地」と書き、お吸い物の汁を表す和食の基本だ。

「こりゃダメだ、と思いました」
高校を中退し、何気なく始めたアルバイトから料理の世界へ。包丁は扱えても基本がない自分に気付き、愕然とした代。「和食を習って、歳までに店を持つことを目標にしました」

現在33歳。5年前に店を開き、今は市場で魚や野菜を仕入れて一日が始まる。
「納得したものじゃないと、値段つけてお客さんに出せないから。市場にはいろんなものがあるけど、気候が変わると体が食べたいものを感じるんです。『サンマ食べたいな~』とかね。主婦の皆さんと一緒ですよ(笑)」。仕入れた食材は味の決め手となる下処理を施し、家庭料理とは一線を画す和食に仕上げる。

ビジネスホテルが近い場所がら、出張客も多い。「うちは一見さんも常連さんも区別しません。料理が良くても居心地が悪かったら良い店じゃない。だから、みんな同じお客さん」。そう言いながらも、味の好みが分かる常連客には突出しの内容を変えているという。
「今、缶詰料理を考えてます。面白いでしょ(笑)」。話題作りで遊びつつ、手元では鯛の昆布締めなど、基本の和食作りに余念がない。

Shinya Makino

牧野真也。浜松市出身、33歳。ジュビロのジュニアユースに選ばれるなどサッカーに夢中だった学生時代。ある日、夢を断たれて高校を中退。アルバイトで入ったレストランで厨房にいる先輩の姿にあこがれて料理人の道へ。現在は妻と3人の子を養う大黒柱。

はんなり
調理の様子が見える人気のカウンターは6席。4人掛けのテーブル席は隣との間が広く、仲間との時間をゆっくり楽しめます。昼は日替わり定食900円~。夜は料理と一緒にお酒もぜひ。秋は松茸や魚料理がお薦めです。予算の目安は8000円。
TEL.053-456-4008
浜松市中区元城町222-25アルスビル1F A-1
昼11:30~売り切れ次第終了(土曜は休み)夜18:00~24:00
定休日:日曜