グルメ

料理人ストーリー

Shinji Ueno ― 上野伸治

(2015年6月25日号掲載)

家族に堂々と出せるラーメンでなくちゃ!

一番人気は豚骨魚介味玉つけめん(醤油)850円

15歳の春、3カ月で高校を辞めて飛び込んだ料理の世界。上野伸治さんを待っていたのは和食店での洗い物の日々だった。洗い物に次ぐ洗い物、野菜や包丁を持たせてもらえるのも、"洗い物"のときだけ。「まるで奴隷のようでしたよ(笑)」と振り返る。それでも憧れの仕事に就けた喜びは大きく、「よし、いつか和食の店を持つぞ!」と、未来は希望に満ちていた。

2年半が経ち、転機が訪れた。違う世界を見るのも悪くない、と引き寄せられたのがラーメンの世界。和食とは違う豪快さに10代の心は刺激され、仕事に没頭した。すると1年半で店長に昇格。売上から仕入れまですべて任されるようになると、仕入れる材料が気になってきた。工場から届く材料袋に書かれた保存料や安定剤などの添加物。国で使用が認められているものだったが、上野さんは店の賄いを食べなくなった。 「自分が食べない物をお客さんに出す罪悪感…。耐えられなかったですね」

その店を辞めるころには、夢は「ラーメン屋を開くこと!」に代わっていた。修業先を選び直し、浜松のラーメン店2軒で修業しながらお金を貯め、24歳で念願の店を持った。
「僕らの業界にネギは欠かせない食材です。でも、輸入物の葉物野菜がいつまでもピンとしてるなんて、おかしいでしょう」

麺は群馬産「きぬの波」の全粒粉のオリジナル。削り節も昆布も鶏も豚も野菜も、食材はすべて上野さん自身が目と舌で確認したもののみを使用している。「僕は家族にも堂々と出せる料理が作りたかったんです。ラーメンを毎日食べると体に悪いって、あれ嘘ですよ。大事なのは材料です。僕は10年間ラーメンを食べ続けてるけど、健康診断の結果は優良ですから!」

Shinji Ueno

上野伸治。愛知県出身、29歳。袋井市の「破天荒」と浜松市の「破天荒 風雅」の2店舗のオーナー。実は甘党で、休日はお菓子作りを楽しむ一方、毎年、富士山に登るというアグレッシブな一面もある。

麺屋 破天荒 風雅
モチモチとした麺が人気の「麺屋破天荒 風雅」は2013年1月に「麺屋破天荒」のセカンドブランドとしてオープン。子ども用の椅子があり、家族連れにも好評。また、季節ごとに登場する期間限定メニューにも力を入れている。
TEL.053-421-2811
浜松市東区薬師町309-18
営業:11:30~14:30 17:00~22:00
休業:月曜、第1火曜(祝日の場合は営業)