グルメ

板長が山で朝掘り

天然だから香る山菜。

(2016年4月28日号掲載)

天竜膳 三好(浜松市・二俣町)

土が付いたまま厨房に
持ち込まれる筍とわらび。
今年のわらびは4月初旬に
初採取された

初々しい黄色の筍も、大地からスックと立ち上がったわらびも、土鍋の中に山の香りを伝えています。春山にひっそりと自生する山菜を、桜色の鯛とともに炊いた三好の「筍・わらび・桜鯛の炊き込みご飯」。この山菜料理が今回の逸品です。

ふきのとう、たらの芽、せりなど、山菜は時間が経つほどエグ味が増すため、採ったらできるだけ早く調理したい食材。そこで、三好の板長・吉澤敏幸さんは、朝、自宅を出るとまず山に向かい、自ら山に入って山菜を摘み、その足で店へ向かいます。

「ちょうどよく日が差す場所があって、そこで採るんだよ。わらびはポキンと折れる上の方だけがおいしい。自分で採れば必要なところだけ採れるでしょう。筍は土が柔らかくて深いところが適地だね。足で地面を探ると、まだ地表に出ていない筍の頭が靴底に当たるんだ。どっちも宝探しみたいで、楽しいよ」

昨年から、地主に許可を得て山に入るようになった吉澤さん。夏はやぶ蚊が飛び交う中、草刈りなどの手入れを行い、次の春に備えています。

筍・わらび・桜鯛の炊き込みご飯
桜鯛筍コース7,000円より

主菜になりにくい山菜に、ここまで丁寧に取り組むのは「自然」を表現する和食料理人としての心意気から。椀物、天ぷら、炊き合わせなど、バリエーション豊かに調理を行っています。

「天ぷらは薄衣で、和え物は胡麻を適度に。山菜料理は何より品良く、香りを大切に仕上げることを心掛けています。この炊き込みご飯は桜鯛のアラ出汁に、料理に合わせて調合したしょうゆを少し足しました」

ふっくら炊き上がった春の炊き込みご飯は、一年の始まりを告げる旬の味です。

足で地面をさぐり、筍の頭を探す板長
053-926-0344
浜松市天竜区二俣町二俣932
11:30~22:00(休 火曜)

取材協力/天竜膳 三好