グルメ

畑の旬を受け入れて

無駄なくおいしい農園サラダ。

(2016年5月26日号掲載)

リストランテ ダ クマ(浜松市・佐鳴台)

すずき農園有機野菜のサラダ 1,400円(2人前)

イタリア料理店ダ・クマの「すずき農園有機野菜のサラダ」。料理名に生産者の名を入れたのも、その畑の野菜だけで完成させたのも、熊谷充敏シェフの農家に対する敬意の表れ。シェフと農家、食に対する2つの考えが一致したことからこの逸品は生まれました。

その①「食べられるものは無駄なく、おいしく」。

世間に広く流通していない野菜でも、おいしいものは数多くあります。例えば、ルッコラの花。一般的には胡麻に似た香りや苦みのある葉を楽しみますが、収穫適期を過ぎると苦みや辛味が強くなるため商品価値はなくなり、廃棄されています。でも実は、その後に咲く花には甘みがあり、おいしく食べられるのです。「食の大切さを伝え、可能性を広げたい」。そんな想いから、熊谷シェフは農園に咲く花を仕入れ、サラダに入れています。

とう立ちしたキャベツ。葉は固くなっても、花の食味は柔らかいキャベツそのもの

その②「旬に正直に」。

5月は収穫野菜が一番少ない時期です。「ないものは、ない。旬とはそういうことだし、ないからある時のありがたみが分かる」と熊谷シェフ。食材調達が難しかったキューバ大使館での公邸料理人時代の経験を生かし、知恵を絞ります。

新玉ねぎはそのままスライスしてもおいしいですが、「レストランで食べるサラダ」にするため、料理人としてひと仕事をします。水分量の多い新玉ねぎを低温でじっくりロースト。とろりとした玉ねぎは、大根の実などのシャキシャキ野菜と食感に対比が生まれ、面白い仕上がりに。また、ビネグレットソースも、肉厚な玉ねぎを一つひとつ押し広げて奥までしっかり馴染ませます。

「おいしい料理を提供するのは、料理人の責任」。

今日も野菜と向き合い、生産者と二人三脚でサラダを作り続けています。

ほぼ毎週畑に通う熊谷シェフ(左)と園主の鈴木さん(右)
野性的な野菜も丁寧に整えておいしい食材に

取材協力/リストランテ ダ クマ