グルメ

子供の輝く笑顔のために

卵不使用のポルポローネ

(2016年10月13日号掲載)

ノーブル・島(浜松市・笠井町)

卵を使わないポルポローネクッキー(5枚入り・486円)

今から15年ほど前、小学5年生の女の子を連れた5人家族がノーブル・島に入ってきました。大人たちはすぐさまショーケースにズラリ並ぶケーキを選び始めましたが、なぜかその女の子だけは後ずさりを始め、店の外を眺めていました。不思議に思ったオーナーパティシエの島三修さんが、「近くで見てごらん」と女の子に声を掛けると、家族から思いがけない告白がありました。

「この子、卵アレルギーがあるからケーキは食べられないんです」

和菓子も洋菓子もベテランの味。ノーブル島店主・島三修さん

島さんは寂しそうな彼女の顔を見て、つい「1週間後にもう一度来てください。彼女にも食べられるものを作っておきますから!」と、口から言葉が出ていました。

今でこそ卵や乳製品、小麦粉不使用の製品が多く売られるようになりましたが、当時はまだそこまで数多くはなかったため、その女の子と家族の期待は大きく島さんに寄せられました。試行錯誤の結果、出来上がったのがこの「ポルポローネ」。口の中に入れるとホロリととけるスペインの伝統菓子・ポルボローネがベースです。

約束を果たした島さんは、その後もチョコレートやムースなどを使って、本格デコレーションケーキを作り、女の子にケーキを食べる喜びを届け続けました。「こんなに子供に喜んでもらえるなんて!」と、開発の苦労も吹き飛んだと、当時を振り返ります。

島さんは今年で69歳、当時は気付かなかった健康の大切さを今は身に染みて実感する毎日です。店の裏で育てているローズマリーやタイム、アップルミントなど、10種以上のハーブを使ったラングドシャや、鮮度の良い遠州産の栗を使った栗蒸し羊羹など、食事制限のある人にもない人にも喜んでもらえる"幸せのお菓子"を今日も作り続けています。

缶詰の栗や保存料も一切使っていない、フレッシュな新栗蒸ようかん(大1296円、小702円)
店の裏で元気に育つハーブたち

取材協力/ノーブル・島