グルメ

素材から学ぶ料理の醍醐味

命を分け合うジビエ

(2017年2月9日号掲載)

ラ・サリーブ浜松市・半田山

ブーダンノワール リンゴのピューレ添え
2600円以上のランチで提供、
ディナーはアラカルトでも

ジビエとは、シカやキジなど狩猟により捕獲された野生鳥獣を扱うフランスの伝統料理。浜松ジビエ界の草分け的存在「ラ・サリーブ」のオーナーシェフ鈴木孝治さんが作る「ブーダンノワール」は、滑らかな舌触りにほのかな塩気が漂う上品な味ながら、野趣あふれるうま味も感じられるテリーヌ仕立てです。主役は天竜で生け捕りにされたシカの血。豚の背油ににんにくと玉ねぎを加えてソテーした中に生クリームと血を入れ、低温で焼き上げます。本来は豚ですが、よりくさみの少ないシカを使うのが鈴木流。「この一皿は鉄分とミネラルが豊富。野山を駆けて生きてきた鳥獣は人工的な家畜と違い、栄養素が高く新鮮ならクセも気になりません。命を分け合い、ありがたくいただく気持ちで作っています」と鈴木シェフは話します。

鈴木シェフがジビエに力を注ぐきっかけとなったのがフランスでの修行時代。師匠がまかないで作った野鳥の煮込みに感動し、こんな料理を作りたいと思ったのが始まりだった。「同じシカでも食べたエサや育った環境が違えば味や香りが違うため見定めて調理します。解体もしますから何を食べたのかがわかる。素材が調理方法を導いてくれるので、こういうソースに合わせようなど挑戦しがいがあり、意欲をかき立ててくれます」。

人が石器時代に動物を捕獲し食べ始めた料理の原点。生き物の背景に思いを馳せることで景色が浮かぶのも魅力の一つです。「誤解も多くて手間もかかりますが、こんなにおいしいんだ!と思ってもらえたら」。イメージで敬遠されがちなジビエも、鈴木シェフの手にかかれば風味豊かな美食に変身。生命への尊敬の念をもって今日も腕を振るいます。

来年30周年を迎えるサリーブ。正統派からジビエまで丹念に仕上げるフレンチに長年のファンも多い
和鹿の自家製生ハム。ここでは時にアナグマやハクビシンなど珍しい鳥獣料理に出合うことも。シカやイノシシは年中味わえる
店舗情報

取材協力/ラ・サリーブ