グルメ

文化の香りを漂わせる

色鮮やかな魅惑の一皿。

(2017年8月31日号掲載)

カレー処 ヤサカ浜松市中区・領家

シーフード・バターマサラ 1,900円
コクのあるソースとトマトの酸味が特徴的なヤサカのバターマサラ。鮮やかなオレンジ色が美しい

日本人が大好きな国民食・カレーライス。ある時は庶民の食卓に上り、またある時は高級レストランのメニューにもなる不思議な料理だ。身近なグルメでありながら、文化の香りも漂わせる――その絶妙なバランスが、多くの人々を魅了する秘密なのかもしれない。

カレー処ヤサカの「シーフード・バターマサラ」は、良質の生クリームとバターをふんだんに使ったぜいたくなカレー。オレンジ色が映える特製ソースに、エビやホタテ、イカといった海産物が絡み合う。一口食べれば、トマトの酸味と、スパイスの辛さがほどよく広がる。

「もともとはメニューになかったんですが、常連の方からの要望に応えてできたカレーです。皆さん、特別な日に注文する方が多いですよ」

エッグドブラジル 1,150円
東京銀座喫茶「ブラジル」のカレーを店主が舌で覚え、ヤサカ風に再現した。卵を付けることで、スパイシーな味わいがマイルドに

そう話すのは店主の稲見栄子さん。"もう一度食べたくなるカレー"を目指して、稲見夫妻が店をオープンしたのは2000年のこと。大のカレー好きだったご主人が、会社を経営する傍ら、東京を始め各地の名店を食べ歩き、オリジナルのレシピを完成させた。東京銀座喫茶ブラジルのカレーを再現した「ブラジルカレー」や、地元・奥山高原ポークのスペアリブを柔らかく煮込んだ「ポークリブスペシャル」など、30種類のスパイスを使い分けたこだわりのカレーを提供する。

元々は鉄工業を営んでいた稲見さん。古い工場跡の敷地内には、雑貨店や生花店、コンサートなどの催しが開けるレンタルスペースが建ち並ぶ。地域の人々が講師となり、フラワーアレンジメントやワイン会、科学教室、古事記の勉強会などさまざまな教室も開かれている。

常連客からは「おかあさん」と親しまれている店主の稲見栄子さん

「オープン当初から、若い人たちを応援して、地域を盛り上げる場にしたいと思ってやってきました」

今では地元のクリエイターや社会活動をする人たちが集まり、地域カルチャーの拠点となっている同店。「面白い店がある」との噂を聞きつけ、県外などの遠方から訪れる客も多い。コレクションした絵画やオブジェなどがさりげなく飾られている店内には、今日も文化とスパイスの香りが漂っている。


カレー処 ヤサカ

053-463-0223
浜松市中区領家1-7-30
営業時間/
11:30~14:30、18:00~21:30
休み/月・火曜(祝日は営業)

取材協力/カレー処ヤサカ