健康

幼児の腕に起こる

肘内障(ちゅうないしょう)

(2014年9月11日号掲載)

急に腕を引くのは危険

臼井 岳(うすいがく)先生
【お話】
浜松赤十字病院
整形外科医

臼井うすいがく先生

肘内障は主に6歳以下の子の肘関節に起こりやすい靭帯(じんたい)の亜脱臼です。肘関節の骨と骨をつなぐ輪状の靭帯が骨からずれて起こると考えられています(図)。幼児の関節はまだ柔らかいので可動範囲が広く、多方向に動きます。また、靭帯自体も柔らかいため、橈骨頭(とうこつとう)と呼ばれる骨の端から外れやすいのです。ですから、骨や靭帯に強度が増してくる7歳以降になると、この症状はほとんど起こりません。

橈骨頭が外れる原因は「急に手を強く引っ張った」「転んで手をついた」「腕をひねった」などが挙げられます。動かすと痛いので、子どもは腕を動かさなくなります。それに気づいた親が脱臼や骨折を疑って整形外科を訪ねてくることが多いです。

骨折がなければ整復

腕の構造

幼児は痛みの状態や原因などを上手に伝えられません。また、病院を怖がって痛みを我慢していることもあります。

そこで、私は診察の際に子どもにバンザイをさせます。痛い方の腕は上げないのですぐにわかります。シールなどを渡して、受け取る際に腕を動かすかどうかも観察します。そして、腫れや変形がないか左右の腕を見比べた上で、骨折の有無を確認するためにレントゲンを撮ります。幼児の骨折は"若木骨折"といわれ、折れずに曲がり見た目でわからないこともあります。

骨折がないとわかったら整復します。簡単に靭帯が戻れば、多くの子はすぐ動かすようになりますが、「動かすと痛い」という記憶から、整復されたにも関わらずすぐには動かさない子もいます。しかし、おなかがすいたり遊びたくなったりすると無意識に痛かった腕を動かすようになるので、心配せずに様子を見ましょう。ただし、まれに数日経過しても腕を動かさない子もいますので、その時は再度整形外科を受診してください。

浜松赤十字病院 TEL.053-401-1111(代)