健康

高齢者の感染に注意

肺炎

(2015年1月29日号掲載)

感染環境で分類

豊嶋幹生先生
【お話】
浜松労災病院
院長補佐
呼吸器内科部長

豊嶋幹生先生

肺炎は細菌やウイルスなどの病原体が肺に入り、炎症を起こす感染症です。人の体には病原体を防御する機能が備わっていますが、病気やストレス、加齢などにより免疫力が落ちると病原体に感染し発症します。発症した環境により感染する病原体や治療法が異なるので、次のように分類しています。

感染環境による肺炎の分類
① 市中肺炎
日常生活を普通に送る健常人が、インフルエンザなどに合併して発症する肺炎で、肺炎球菌によるものが多い。
② 院内感染
病気で入院後2日以上経過後に発症した肺炎で、例えば、がん治療で免疫力が落ちた場合などに、健常者には病原性の低い黄色ブドウ球菌、緑膿菌などの病原体が感染して発症することが多い。

最近は、この二つの間に「医療・介護関連肺炎」が加わりました。これは「介護施設に入居している」「介護を必要とする高齢者」「通院で透析など血管内治療を受けている」など① ② のどちらにも当てはまらないもので、平均寿命が延びる中、新しく生まれた定義です。耐性菌のリスクが高いといわれています。

肺炎球菌には予防接種を

肺炎による陰影(赤枠の部分)が見られるレントゲン写真

肺炎の症状はせき、痰、発熱、呼吸困難、胸痛などですが、高齢者は必ずしも高熱が出るわけではなく、咳がない場合もあります。ですから「ぐったりしている」などの気になる症状がある場合は、早めにかかりつけ医でレントゲン撮影と血液検査をしてもらいましょう。肺炎の抗菌薬の開発が進み、外来治療で済む方も増えています。

肺炎の病原体で最も多いのは、多くの小児や一部の成人が、喉や鼻に保菌している「肺炎球菌」です。これが肺の中に侵入するとによって肺炎を発症します。

重症化を防ぐ予防接種もあります。国は肺炎死亡率が高まる65歳以上の方を対象に「肺炎球菌ワクチン」の定期接種制度を始め、5歳区切りの節目年齢の方には公費助成を行っています(※)。ワクチンの有効期間は5年間。インフルエンザの予防接種と併せて受ければさらに効果的です。なお、保菌者の咳の飛沫などからの感染を防ぐために、外出時はマスクを着用し、うがい、手洗いを心掛けましょう。寝たきりの方は、口腔ケアも大切です。

(※)65歳以上は平成30年までの間に1人1回定期接種の対象となり、公的補助が受けられる。詳しくは「肺炎球菌厚生労働省」で検索

浜松労災病院 TEL.053-462-1211(代)