健康

知らないうちに進行する

動脈硬化

(2015年3月26日号掲載)

すべての人にある現象

武藤 真広 先生
【お話】
浜松医療センター
循環器内科長

武藤 真広 先生

動脈硬化は血管に弾力がなくなったり血管の壁が硬く壊れやすくなったり、コレステロールが血管の内壁にたまったりする現象です。「中年以降に起こる」「なる人とならない人がいる」と思われがちですが、実は違います。血管は出生時すでに完成していて、劣化は日々進みます。つまり、誰でも0歳から動脈硬化は始まっているのです。しかし、進行速度は人によって異なり、速い人は重大な病気を起こしやすく、遅ければ血管性疾患と無縁の一生を送れるのです。

怖いのは、動脈硬化が進んでいても自覚症状が出ないこと。コレステロールなどが徐々に血管内にたまって4分の3以上をふさぐようになると狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などの重大な病気が起こり、そこで初めて気づきます。そして、これらの脳心血管系疾患で亡くなる方は4人に1人以上と、がんに次いで2番目に多い死因なのです。

動脈硬化に気づくには、年に1回は検診を受けて健康状態を知ることが大切です。動脈硬化の状態そのものを判定する数値はありませんが、コレステロール値で状況を予想できます。ただし、悪玉コレステロールが多ければ危険というわけではなく、善玉コレステロールとのバランスも診断の対象となります。

予防で悪化を遅らせる

男性は30歳、女性は50歳以降で動脈硬化による病気を発症しやすくなります。進行させる危険因子は、コレステロール、糖尿病、喫煙、高血圧、肥満の5つです。喫煙はまず止めること。そして、食事と運動を意識すれば、血管寿命を変えることができます(表参照)。全部を実践するのは難しいことですが、血管の状態は見えないので「いかに予防するか」がとても大事。薬による治療も可能ですが、まずは動脈硬化の進行を遅らせる努力から始めましょう。

浜松医療センター TEL.053-453-7111(代)

動脈硬化予防策

進行を遅らせるためにやるべきこと

□喫煙および受動喫煙を避ける
□過食せず、標準体重を維持
□肉の脂身、乳製品、卵黄の摂取を抑える
□魚類、大豆製品、野菜、果物、未精製穀類、海藻の摂取を増やす
□食塩を多く含む食品の摂取を控える(6g/日以下)
□アルコールの過剰摂取を控える(25g/日以下※1合程度)
□ウォーキングなどの有酸運動を毎日30分以上行う