健康

漢方に聞くその16
どうして

秋は気持ちが落ち込みやすいの?

(2015年9月10日号掲載)

秋は気の巡りが滞りがち

玉嶋貞宏 院長
玉嶋血液内科
漢方診療所

玉嶋貞宏 院長
1958年、兵庫県生まれ。浜松医科大学卒。共立湖西総合病院、聖隷浜松病院を経て2012年に開業。日本血液学会認定血液専門医・日本東洋医学会認定漢方専門医
浜松市中区住吉1-24-1NTT住吉ビル4F
TEL.053-412-0100

秋は枯れ葉が落ち、寂しい気持ちが生まれる季節です。心と体は一体なので、寂しい気持ち、憂いの気持ちが強すぎると心身に不調を引き起こすことがあります。

前回お話ししたように、季節が「陽」から「陰」へと大きく変化する時季は、人に大きな影響を与えます。陽は温かく明るく、活動的な象徴。陰は冷たく暗く、静かな象徴です。秋は陰が最も強まる冬に向かって大きく変化が始まる季節なのです。

また、秋は臓器でいうと肺が最も影響を受けます。肺は大気を取り込みますが、冷涼で乾燥した大気は肺の機能を失調させやすいためです。肺は気をつかさどる重要な臓器でもあるので、気の流れが滞りやすくなります。特に月経がある女性は、月経の周期により気血の巡りが良くなったり悪くなったりする影響もあるため、もの寂しい気持ちがより強く出現するということになります。

体を動かすことも大事

季節は「陽」から「陰」へ

陽が極まった状態

陰が極まった状態

陽から陰へ移り変わる時期のため、気の巡りが悪くなる

秋は安定した気持ちで過ごすことを心がけることが大切と言われています。そのような気持ちでいるためには、気の巡りがよい状態であることが必要です。

そのためには好きなこと、楽しいことをしましょう。さらに軽く体を動かすことが大切です(激しい運動ではありません)。もともと気の巡りが悪くなりやすい人は、じっとしているだけで気の巡りが悪くなります。例えば旅行が好きな人にとって、旅行は楽しく、体も動かすことになるので、気を巡らす良い方法といえるでしょう。

人間は原因が分からない状況に不安を覚えるものです。「理由は分からないけどなんとなく気分が重い」という時は、「人は常に外部の影響を体に受けながら生きている」ということを思い出しましょう。憂鬱な気分の原因が季節にある場合もあるのです。そうであるなら、漠然とした不安は解消されるでしょう。