健康

漢方に聞くその19

なぜストレスで動悸や胃痛が出るの?

(2015年10月8日号掲載)

五臓は互いに支えあう

玉嶋貞宏 院長
玉嶋血液内科
漢方診療所

玉嶋貞宏 院長
1958年、兵庫県生まれ。浜松医科大学卒。共立湖西総合病院、聖隷浜松病院を経て2012年に開業。日本血液学会認定血液専門医・日本東洋医学会認定漢方専門医
浜松市中区住吉1-24-1NTT住吉ビル4F
TEL.053-412-0100

近年、「腸は第二の脳」といわれるようになりました。これは、腸が最大の末梢神経組織であることなどが分かってきたためです。東洋医学では、消化機能は「脾」という臓器が担っていると考えてきました。

以前、気・血・水の巡りが人の心身にとって重要であることを述べました。これを別の視点からとらえたのが「五行」という考え方です。

図を見てください。脾を含んだ、五つの臓器が並んでいます。五行とは、五つの臓器の働きを自然界の現象に対応させて考えるものです。ここで注目すべきは「脳」がないこと。古い時代の中国では、悲しみ、喜び、怒りなどの感情でさえも五臓によって起こるものと考えていました。

五臓はお互い支え合って、人の心と体のバランスをとっています。このバランスが崩れると病気になると考えられます。西洋医学では「腸は第二の脳」といわれ、消化器が非常に重要な臓器だとされていますが、東洋医学では五臓のすべてが同じように重要なのです。

肝はストレスを受けやすい

五行図

五臓は互いに影響を受けながらバランスを保っている

五行の図を見ると、肝→心→脾……と矢印が円を描いています。この関係は「相生」といい、肝は心を、心は脾を育てるという具合に、互いに育て合うことを示しています。反対に抑制しあう関係もあります。これは「相克」といい、肝→脾→腎……と矢印が星形を描きます。

五臓の中で特にストレスを受けやすいのは肝です。ストレスにより肝の機能が失調すると、肝が育てる心に影響を与え、動悸が出たりします。また、肝は脾を抑制します。肝の失調が起こると、過剰に脾を抑制することがあります。そうなると、胃痛や下痢などの消化器症状が現れます。

肝の過剰な抑制がなくても、脾が弱ければ消化器の不調が起こることもあります。原因がはっきりしない動悸、腹痛、下痢などは五行の視点で考えると分かることがあるのです。