健康

漢方に聞くその25

カゼの症状は日ごとに変わる?

(2015年12月24日号掲載)

寒い時期のカゼは体表から始まる

玉嶋貞宏 院長
玉嶋血液内科
漢方診療所

玉嶋貞宏 院長
1958年、兵庫県生まれ。浜松医科大学卒。共立湖西総合病院、聖隷浜松病院を経て2012年に開業。日本血液学会認定血液専門医・日本東洋医学会認定漢方専門医
浜松市中区住吉1-24-1NTT住吉ビル4F
TEL.053-412-0100

漢方医学ではカゼの症状は日々変わっていくと考えます。そのため、同じ患者さんでも日によって異なる薬を処方することも珍しくありません。漢方のカゼ薬は、西洋医学のカゼ薬に比べて非常に多くの種類が存在します。

冬のカゼの多くは風寒邪(ふうかんじゃ)が体表に取りつくことで起こります。カゼのひき始めに悪寒を感じるのは、体表が風寒邪に侵されているためです。

風寒邪は体表から体の中にある消化管に向かって侵入しようとします。そのためカゼが体表に取りついた段階で治らないと体内に侵入し、消化器の症状、例えば口が苦い、食欲不振、吐き気などの症状が出ます。舌の苔(こけ)が厚くなることもあります。 カゼの初期、つまり邪が体表に取りついている時は、発汗とともに邪を追い払う方法(発汗法)で治療します。カゼの漢方薬で有名な葛根湯は発汗させる薬の一つです。ただし葛根湯のような薬は、すでに発汗している時には使えません。その場合は別の薬が用いられます。

風寒邪が体内に侵入

多くの人は、カゼをひいても初期の段階で診療所に行くことはあまりありません。体内に侵入し始めたところで受診することが多いと思います。この段階では消化器症状も出始めているので、発汗法を行ってはいけません。臓腑の働きを調節する薬を使って、病状の改善を行います。

以上のように漢方では、その時々に応じた薬を処方してカゼを治していきます。カゼの治療をした患者さんの中には「熱が下がっているのに調子が良くならない」と言う人がよくいます。この場合はカゼが治っていないか、カゼのため体力が低下しているか、どちらかの場合が多いと思います。カゼ後の養生も重要です。

カゼの進行具合によって症状と治療法は変わる?

カゼで寒気を感じている人は体を温める必要があります。逆に熱いと感じている人は冷やします。体温計の数字は関係ないのです。また、カゼは1~2日目の初期と、一週間を過ぎてからの時期とでは症状も違えば治療も異なります。

西洋医学では、体温計の数値が高ければ体温を下げる治療をします。温めるという発想はあまりありません。漢方医学との大きな違いです。カゼに限らず体の養生には寒熱の自覚が大切です。体温計の数字にとらわれ過ぎるのはよくありません。