健康

漢方に聞く その32

胃腸を温めると花粉症が改善する?

(2016年3月10日号掲載)

胃腸や腎の冷えが影響

玉嶋貞宏 院長
玉嶋血液内科
漢方診療所

玉嶋貞宏 院長
1958年、兵庫県生まれ。浜松医科大学卒。共立湖西総合病院、聖隷浜松病院を経て2012年に開業。日本血液学会認定血液専門医・日本東洋医学会認定漢方専門医
浜松市中区住吉1-24-1NTT住吉ビル4F
TEL.053-412-0100

前回、花粉症の症状軽減のためには、体を風邪から守る力が必要だというお話をしました。そのためには気・血・水、五臓の働き、寒熱を整えることが大切だということにも触れました。

花粉症の治療は、冷えている人は温め、熱を持っている人は冷やすというのが基本です。ただし、上半身に熱があり下半身は冷えている人は、温めるとのぼせてしまい、冷やすと下半身は冷え切ってしまいます。このような複雑なタイプの人の治療は簡単ではないこともあります。

全身が冷えている人を例に挙げましょう。全身が冷える時は、体内で熱が減少していることが考えられます。熱を生み出すには、主に「胃腸(東洋医学では脾)」と「腎」が関わります。

腎は成長、発育、老化をつかさどり、また水の代謝にも関わります。腎が熱を供給できないと、体のすべての臓器が冷えてしまいます。胃腸も熱が生み出せないと体が冷えます。もちろん胃腸が冷えると、下痢などの症状も出現しやすくなり、気・血・水の巡りも悪化させます。

自然治癒力を回復させる

また、花粉症では鼻炎症状がみられますが、鼻は「肺」と強い関連があります。東洋医学の五行思想では、脾は肺を育て、肺は腎を育てるという関係があります(図参照)。この関係では母である脾が不調になると子である肺は不調になり、子である腎が不調になれば母である肺も不調になります。つまり脾、腎のどちらでも不調になれば肺の機能は低下し、肺と関連する鼻も不調になるのです。

胃腸や腎が冷えると、花粉症だけでなく体にさまざまな不調が現れます。このような人は胃腸、腎を温めて体が本来持っている機能を回復させれば、全身の外邪に対する抵抗力も自然に回復します。漢方は本来、人間が持っている自然治癒力を回復させる手助けをするものなのです。