健康

格言で学ぶ漢方-14

虚すれば則ち(すなわち)これを補す

(2016年8月25日号掲載)

夏に失われがちな陰を補給しよう。

脾胃を補う食事も大切
玉嶋貞宏 院長
玉嶋血液内科
漢方診療所

玉嶋貞宏 院長
1958年、兵庫県生まれ。浜松医科大学卒。共立湖西総合病院、聖隷浜松病院を経て2012年に開業。日本血液学会認定血液専門医・日本東洋医学会認定漢方専門医
浜松市中区住吉1-24-1NTT住吉ビル4F
TEL.053-412-0100

前回、夏は汗をかく季節のため、体の水(すい)が失われやすいという話をしました。体に必要な水という意味で、津液(しんえき)ということもあります。水を失うと、目が乾燥する、口が渇く、皮膚が乾燥気味になるなどの乾燥症状が出現します。

水(すい)は陰の一つです。水が減ると、体内は陰が足りない状態になります。陰が不足すると、対極にある陽が相対的に勢いを増すため、陽の性質である熱の症状がみられることがあります。これを「陰虚」といいます。熱症状として、のぼせ、手掌、足底のほてりなどが出現します。体温計で測っても異常はありません。

漢方治療の原則の一つに「虚すれば則ちこれを補す」があります。つまり、体が必要としているものが足りない場合は、補うことで健康な状態に戻すということです。

夏は陰を失いやすい季節です。日ごろから陰を失わない生活を送ることが大切です。日中の過度の活動を控え、夜はよく眠ることが基本的な対処法です。陰を補う効果を持つ食材を積極的にとることも有効です。

食材の中には、陰を補う役割を持つものが多くあります。陰全般でみれば、水飴、アスパラガス、オクラ、ヨーグルトなどは良く、水(津液)を補うという点では、夏の野菜であるきゅうり、ズッキーニ、トマト、夏の果物のいちじく、メロン、桃などは良いとされます。

また、夏は脾の働きが弱まって、食欲がなくなりがちな季節です。満足に栄養が取れないと、夏バテの原因になります。夏の終わりから秋にかけては、脾胃を補う食生活を送ると良いといわれています。野菜・穀類であれば、うるち米、じゃがいも、かぼちゃ、さつまいもなどは脾胃の働きを助ける役割を持ちます。

厳しい残暑はまだ続きます。元気を保つためには、体に無理をさせない生活を送ることが第一です。