健康

格言で学ぶ漢方-15

養生に身が痩(や)せる

(2016年9月1日号掲載)

「健康のため」が体を壊す。

何事もやり過ぎは禁物
玉嶋貞宏 院長
玉嶋血液内科
漢方診療所

玉嶋貞宏 院長
1958年、兵庫県生まれ。浜松医科大学卒。共立湖西総合病院、聖隷浜松病院を経て2012年に開業。日本血液学会認定血液専門医・日本東洋医学会認定漢方専門医
浜松市中区住吉1-24-1NTT住吉ビル4F
TEL.053-412-0100

猛暑が続いた8月が終わり、9月に入りました。夏の疲れが出やすい時季です。食事をしっかりと摂り、体力を回復しておかないと、倦怠感や食欲不振といった夏バテの症状が現れます。

前回は「陰虚」の話をしました。陰虚とは体の潤いが足りない状態のことで、人によっては口の乾燥感、のぼせや手足・足底のほてりなどの熱症状が出ます。陰虚を改善するには、食事や漢方薬によって潤いを補う必要があります。

夏は体の潤いを失いやすい季節です。「体に潤いが足りない」というと、水分をたくさん摂ればいいと考えがちです。ですが、通常の飲料水では体を十分に潤わせることはできません。体に潤いを与える食材を摂ることと、食物から潤いのもとになる栄養分を吸収する胃腸の働きを良くすることが重要です。

冷たい食物、飲み物を摂り続ければ、胃腸の機能は低下します。すると、食欲が低下し、下痢になったり元気がなくなったりします。

また熱中症の予防のため、積極的に冷房を使うこともあると思います。陰虚の体質の人は、上半身が熱くなるので、冷房を使いたくなるのですが、同時に冷え症であることも珍しくありません。そのような人は、冷房で胃腸が冷やされるので、結果的に夏バテにつながります。

健康のために気やお金を使いすぎて、身を持ち崩してしまうことを「養生に身が痩せる」と言います。夏の間、体のためを思って冷たい飲食物を十分に摂り、冷房の中にいるのに体調が悪くなる人は、自分の体質を考えていないことに原因があります。

テレビや雑誌などに紹介されている健康法だからといって、全員に効果があるわけではありません。もし何らかの健康法を実践して体調が悪くなるようであれば、それは自分の体質に合っていないということです。食事改善や運動などは、自分の体と相談しながら無理せず取り組んでください。