健康

格言で学ぶ漢方-17

薬食同源

(2016年9月22日号掲載)

食べ物はすべて薬になる。

どんな治療よりも食事が大切
玉嶋貞宏 院長
玉嶋血液内科
漢方診療所

玉嶋貞宏 院長
1958年、兵庫県生まれ。浜松医科大学卒。共立湖西総合病院、聖隷浜松病院を経て2012年に開業。日本血液学会認定血液専門医・日本東洋医学会認定漢方専門医
浜松市中区住吉1-24-1NTT住吉ビル4F
TEL.053-412-0100

食欲の秋がやってきました。さまざまな食材が実りを迎えますが、実は漢方の治療で使われる生薬も食べ物に由来しているものが多くあります。例えばアンズの種子は「杏仁」、ショウガは「生姜」、ミカンの皮は「陳皮」として漢方薬に用いられます。

「薬食同源」という言葉があります。東洋医学では食べ物すべてに薬効があり、「食事をすることと、薬を服用することは同じ」と考えられています。この考えを料理に取り入れたのが薬膳です。丈夫な体を保ち、病気を予防するためには、日頃の食事内容がとても大切になるということです。

今から3000年前の中国・周王朝の時代、医者の専門分野は、主に行政に関わる医者を除くと、①食医(食事療法医)②内科医③外科医④獣医に分けられていました。この中で最もランクの高い地位にあるのが「食医」でした。日々の食事に気を付けることが、どんな治療よりも大切であることを古代の人々は知っていたのです。

生まれた時に親から譲り受けたものを「先天の気」といいます。先天の気は、五臓の内の腎に蓄えられます。

それに対し、食べ物を摂取して得るエネルギーのことを「後天の気」といいます。食べ物は脾胃の働きによって、消化・吸収されて気・血・水に変化します。脾胃の機能が正常に働かないと、いくら体に良いものを食べても元気になりません。暴飲暴食や胃腸を冷やす食事は、脾胃の働きを鈍らせるので避けましょう。

薬膳料理というと「漢方薬に使う生薬が入った料理」というイメージを持っている方も多いと思います。ですが必ずしも生薬が入っているわけではなく、漢方ではすべての食材に薬効があると考えています。また、本来、薬膳料理は漢方薬と同様、食材の効能を見極め、食べる人の体質や状態に合わせて作るものです。食材の持つ効能については次回、詳しくお話しします。