健康

格言で学ぶ漢方-18

秋茄子(なす)は嫁に食わすな

(2016年10月27日号掲載)

その食材、体を冷やす?それとも温める?

涼性・寒性の食材に注意
玉嶋貞宏 院長
玉嶋血液内科
漢方診療所

玉嶋貞宏 院長
1958年、兵庫県生まれ。浜松医科大学卒。共立湖西総合病院、聖隷浜松病院を経て2012年に開業。日本血液学会認定血液専門医・日本東洋医学会認定漢方専門医
浜松市中区住吉1-24-1NTT住吉ビル4F
TEL.053-412-0100

実りの秋は、さまざまな作物が旬を迎えます。この時季の格言として「秋茄子は嫁に食わすな」という言葉があります。一般的には「秋の茄子は嫁に食べさせたくないほどおいしい」という意味で使われますが、一説には「茄子は体を冷やすため、子どもを産んでほしい嫁に食べさせてはいけない」という意味があるともいわれています。

東洋医学では、すべての生薬や食材に「四気」と「五味」があると考えています。「四気」とは、食材の効果を寒・熱で分類する考え方です。体を冷やす性質の食べ物は「寒性」「涼性」、体を温める性質の食べ物は「温性」「熱性」といいます。これら四気に属さない食材もあり、その場合は「平性」と呼ばれます。

夏野菜の代表格である茄子は「涼性」の食材です。暑い季節や地域で育つ作物の多くは、体を冷やす作用があります。例えばキュウリやゴーヤ、トマトなども「寒性」「涼性」を持つ野菜です。冷房のなかった時代の人は、旬の食べ物を取ることで自然に体温を下げ、暑い夏を乗り切っていました。

一見、同じような食材でも、品種によって性質が異なる場合もあります。例えば同じかんきつ類でも、温州ミカンはわずかですが「温性」、オレンジは「涼性」に分類されます。また、柿は秋・冬の果物ですが、「寒性」に分類されます。寒い時季に採れるからといって、すべての食物が体を温めるわけではないので注意が必要です。

現代は輸入や温室栽培で1年中、同じ野菜がスーパーに並んでいます。そのため、寒い時季でも「涼性」「寒性」の食材を食べ過ぎて、体を冷やしてしまうこともあります。四気を意識することで、過度の冷えを避け、病気に負けない健康な体作りを心がけましょう。次回は「五味」について紹介します。